経済政策分析局、2020年のGDP成長率をマイナス5.1%に上方修正

(オランダ)

アムステルダム発

2020年08月31日

オランダ経済政策分析局(CPB)は8月17日、今後新たに大規模な接触制限などの新型コロナウイルス感染防止措置が行われない場合(ベースライン予測)の2020年のGDP成長率をマイナス5.1%、2021年は3.2%とする予測を発表した。6月に発表した2020年予測のマイナス6.4%(2020年6月19日記事参照)から1.3ポイント上方修正した。

このベースライン予測では、家計支出が前年比5.9%減(前回6月の予測:7.3%減)、投資が7.5%減(同10.3%減)、輸出が5.2%減(同10.1%減)と、いずれも前回予測から上方修正した。購買力も、2020年には既に団体労働協約(CAO)で合意されている賃金の引き上げと緩やかなインフレなどにより、2.2%に上昇すると予測している。一方、失業率は2020年に4.4%、2021年には6.5%まで上昇すると予測した。

財政収支は2019年にはGDP比1.7%の黒字だったが、2020年は各種経済支援策と税収減などにより、GDP比で7.1%の赤字となり、2021年には4.1%の赤字とやや回復する見込み。政府債務残高も、2019年のGDP比48.7%から2020年は59.9%、2021年には59.7%に増加すると予測するが、危険水域には達しないとしている(添付資料表1参照)。

感染拡大の第2波が発生する場合のシナリオでは、2020年のGDP成長率はマイナス6.2%、2021年はマイナス3.2%となり、失業率は2020年に4.8%、2021年には10.0%に達するとしている。さらに、経済支援策の継続などで政府債務残高はGDP比61.9%(2020年)、73.1%(2021年)とそれぞれ大幅に増加すると予測している(添付資料表2参照)。

CPB局長のピーター・ハセカンプ氏は「オランダは他国に比べ新型コロナウイルスによる危機の影響は少ないが、前例のないマイナスの影響を受けており、今後、その影響は失業や倒産という形で現れ、業種間で雇用と収入が大きく異なってくるだろう」と指摘した。

なお、政府は雇用と経済への影響を最小限に抑えるために、複数の経済支援策を講じている(2020年4月14日記事参照)。CBSは8月21日、中小企業(従業員数:2~250人)の40%(16万4,000社)が政府の主要な3つの経済支援策(従業員給与補助:NOW1.0、影響あるセクターの事業者への給付金など:TOGS、税繰り延べ)のいずれかを利用したことを発表した。また、経済支援策を受けている49%の中小企業は、この経済支援策のうち2つもしくは3つの複数の支援策を利用している実態を明らかにしている。

(高橋由篤)

(オランダ)

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