ヌエボレオン州、独自の官民合同投資・観光誘致機関を設立

(メキシコ)

メキシコ発

2020年08月20日

メキシコ北部の重要な工業都市で、同国を代表する大学都市でもあるモンテレイを州都に持つヌエボレオン州のハイメ・ロドリゲス・カルデロン知事は8月18日、経済団体や学界の代表とともに、同州への投資と観光を誘致するための官民合同組織「インベスト・モンテレイ(DeMty.A.C.)」の設立式典を開催した。インベスト・モンテレイは州政府に加え、ヌエボレオン州製造業会議所(CAINTRA)など複数の経済団体、モンテレイ工科大学、ヌエボレオン州自治大学など複数の大学が共同出資して設立された。国内外の企業に投資誘致活動を行うほか、州内の経済開発に向け、既に進出している企業へのサポートやサプライチェーンの構築支援なども行う。米国のヒューストンやシカゴ、カナダのトロントなどの都市レベルのプロモーション活動を参考にしている。

ロドリゲス知事は設立式典で、新型コロナウイルスは州経済に深刻な打撃を与えたが、州政府と民間部門のシナジーによりヌエボレオン州は再び立ち上がるとし、「ヌエボレオンが落ちれば、メキシコも落ちる」とヌエボレオン州の重要性を強調した。同州経済労働局のロベルト・ルシルディ局長は、州の人口は全国の4%しかいないが、全国の8%のGDP、8%の正規雇用を生み出しているとし、その活発な経済活動に加え、複数の有名大学から輩出される優秀な人材が州の魅力を増していると語った(ヌエボレオン州政府プレスリリース8月18日付)。

プロメヒコ廃止後、州や地域レベルのイニシアチブ浮上

連邦政府は、アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領が重視する福祉政策の財源確保のため、2018年12月の政権発足以降、行政機関の統廃合や省庁内の不要なポストの整理を進めている。その過程で、貿易投資促進機関のプロメヒコや観光促進機関のメキシコ観光促進審議会(CPTM)も廃止(2018年12月25日記事参照)したため、現在は投資誘致や観光促進を行う連邦行政機関が存在しない。プロメヒコは各州にも事務所を持ち、州政府と協力して投資誘致活動を行っていたが、プロメヒコの廃止後、州独自、あるいは特定地域の州政府が協力し、連邦政府に頼らずに誘致活動を行う動きが出ている。

日系進出企業も多いグアナファト州、アグアスカリエンテス州、ケレタロ州、サンルイスポトシ州、ハリスコ州の中央高原バヒオ地域の5州の政府は2019年10月10日、共同で同地域への投資誘致を促進する取り組みを開始すると発表した。この取り組みは「プロ・バヒオ」と呼ばれ、外国で開催される展示会などに共同ブースを設置し、誘致活動や外国企業とのビジネスマッチング支援などを行っている。今回のインベスト・モンテレイは、州レベルの官民合同の取り組みとしてこれに続くかたちだ。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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