イランがIAEAの核査察受け入れに合意

(イラン)

テヘラン発

2020年08月28日

イラン原子力庁と国際原子力機関(IAEA)は8月26日に共同声明を発表した。両者はIAEAが指摘する問題を誠実に解決すること、その一環として、これまでイランが査察を拒否していた国内2カ所の核関連施設へのIAEAの査察をイランが自発的に受け入れることで合意した。また声明は、IAEAはイランに対して追加の質問や査察の要望がないこと、IAEAの独立性、公平性、専門性が公正な査察の前提条件となること、IAEAは全ての基準や手順を順守しながら、イランの安全保障上の懸念に引き続き対処することなどを表明した〔8月26日付イスラム共和国放送局通信(IRIB)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます〕。

IAEAのグロッシ事務局長は2019年12月に米国などの支持を受けて就任して以来、8月24日に初めてイランを訪問。翌25日にはサレヒ原子力庁長官とザリフ外相、26日にはローハニ大統領とも会談し、協力関係を確認していた〔8月25日付イスラム共和国通信(IRNA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます〕。

イランは2019年5月以降、ウラン濃縮活動を再開するなどして、2015年7月に最終合意したイランの核開発に関する「包括的共同行動計画(JCPOA)」で定められた履行義務を一部停止・逸脱し、国際社会に対して反発する姿勢を見せていた(2019年5月13日記事参照)。こうした動きを受けて、IAEAは6月19日の理事会で、イランがIAEAによる核関連施設への査察を拒否していることを非難し、IAEAの査察に協力を求める決議を採択していた。イランは今回の合意により、国際社会への協調姿勢を示したかたちとなった。

(中村志信)

(イラン)

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