米GDP成長率、第2四半期は過去最大の減少幅を記録

(米国)

ニューヨーク発

2020年08月03日

米国商務省が7月30日に発表した2020年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率(速報値)は前期比年率マイナス32.9%〔2020年第1四半期(1~3月)はマイナス5.0%:2020年5月8日記事参照〕となった(添付資料図・表参照)(注)。市場コンセンサス予想(ブルームバーグ調べ)のマイナス34.8%ほどの落ち込みではなかったものの、2四半期連続のマイナスとなり、統計開始(1947年)以来最大の減少幅を記録した。

個人消費などの国内需要が大幅に悪化

2020年第2四半期の需要項目別の寄与度をみると、個人消費支出(マイナス25.1ポイント)、在庫投資(マイナス4.0)、設備投資(マイナス3.6)などの国内需要が、前期に続いて大幅に悪化したことで成長率を押し下げた。

個人消費支出は前期比年率34.6%減と、GDPと同様に2四半期連続の減少となり、統計開始(1947年)以来最大の減少幅となった。内訳をみると、財が11.3%減〔耐久財(1.4%減)、非耐久財(15.9%減)〕、サービスが43.5%減と大きく減少した。要因としては、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた外出禁止措置などの影響により、ヘルスケアが62.7%減(前期:16.3%減)、飲食サービス・宿泊が81.2%減(31.3%減)、娯楽サービスが93.5%減(33.4%減)と大幅減となったことなどが挙げられる。

設備投資は27.0%減と、3四半期連続の減少となり、1952年第3四半期(7~9月、27.7%減)以来最大の減少幅となった。内訳をみると、構築物が34.9%減、機器が37.7%減と、いずれも前期(それぞれ3.7%減、15.2%減)から減少幅が拡大した。知的財産も7.2%減と前期(2.4%増)から減少に転じた。要因としては、それぞれ鉱物探査・シャフト・採掘井(77.8%減)、輸送機械(85.7%減)、ソフトウエア(1.4%減)が減少したことなどがある。

住宅投資は38.7%減(前期:19.0%増)と1年振りにマイナスに転じ、1980年第2四半期(4~6月、56.0%減)以来最大の減少幅となった。

純輸出(外需)は、輸出が64.1%減、輸入が53.4%減と、いずれも前期(それぞれ9.5%減、15.0%減)からマイナス幅が拡大し、統計開始(1947年)以来最大の減少幅となった。輸出は旅行(98.5%減)、輸入は自動車・エンジン・部品(95.3%減)などが大幅に減少。

物価は、価格変動が大きいエネルギーや食料を除いた個人消費支出デフレーター(コアPCE)の上昇率が、前期比年率でマイナス1.1%、前年同期比で0.9%となった。

ムーディーズ・アナリティクスのチーフエコノミスト、マーク・ザンディ氏は「非常に深くて暗い穴(が開いたような落ち込み)で、いずれはそこから抜け出すことになるが、抜け出すには長い時間がかかるだろう」と述べた(「CNBC」7月30日)。また、キャピタル・エコノミクスのシニア米国エコノミスト、アンドリュー・ハンター氏は「最近の感染者数の再拡大が7月の景気を圧迫し始めており、『V字型』の回復は続かないだろう」と述べた(「ブルームバーグ」7月30日)。

(注)今回の発表に併せて、毎年実施される年次改定が行われ、2015年以降の係数が遡及(そきゅう)改定された。しかし、商務省によると、改定後の2014~2019年の年平均成長率は2.5%と、改定前(2.4%)とそれほど変わっておらず、「経済全体の姿は大きく変化していない」とした。

(権田直)

(米国)

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