米GDP成長率、第1四半期は年率マイナス4.8%、6年ぶりの減少

(米国)

ニューヨーク発

2020年05月08日

米国商務省が4月29日に発表した2020年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率(速報値)は前期比年率マイナス4.8%〔2019年第4四半期(10~12月)はプラス2.1%〕となり、市場コンセンサス予想(ブルームバーグ調べ)のマイナス3.8%を下回った(添付資料の図・表参照)。2014年第1四半期(マイナス1.1%)以来6年ぶりの減少、減少幅は2008年第4四半期(マイナス8.4%)以来11年3カ月ぶりの大きさとなった。

個人消費や設備投資が大幅に悪化

2020年第1四半期の需要項目別の寄与度をみると、個人消費支出(マイナス5.3ポイント)や民間投資(マイナス1.0ポイント)などの国内需要が大幅に悪化したことで、成長率を押し下げた。

個人消費支出は前期比年率7.6%減と、2009年第4四半期(0.6%減)以来の減少となり、1980年第2四半期(4~6月、8.7%減)以来最大の落ち込みとなった。内訳をみると、財が1.3%減〔非耐久財(6.9%増)、耐久財(16.1%減)〕、サービスが10.2%減と大きく減少した。要因としては、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた外出禁止措置などの影響により、自動車・同部品が33.2%減(前期:5.5%増)、衣服・靴が36.0%減(4.9%増)、ヘルスケアが18.0%減(4.9%増)、輸送サービスが29.2%減(0.7%増)、飲食サービス・宿泊が29.7%減(1.0%増)、娯楽サービスが31.9%減(5.5%増)と大幅減となったことなどが挙げられる。一方、食品・飲料は25.1%増(1.3%減)と大幅増となった。

設備投資は8.6%減と、4四半期連続の減少となり、2009年第2四半期(11.6%減)以来最大の減少幅となった。内訳をみると、機器が15.2%減、構築物が9.7%減と、いずれも前期(それぞれ4.3%減、7.2%減)から減少幅が拡大した。要因としては、輸送機器(30.6%減)、製造業(24.6%減)が大きく減少したことなどがある。

住宅投資は21.0%増(前期:6.5%増)となり、3四半期連続で増加した。

外需は、輸出が8.7%減(前期:2.1%増)とマイナスに転じ、輸入が15.3%減と前期(8.4%減)からマイナス幅が拡大した。輸出の減少幅は2009年第1四半期(28.6%減)以来の大きさとなり、輸入は2009年第2四半期(15.6%減)以来10年9カ月ぶりに2桁台のマイナス幅となった。旅行は輸出入ともに大きく落ち込み、輸出では54.1%減、輸入では67.6%減だった。

政府最終消費支出・粗投資は、0.7%増と前期(2.5%増)からプラス幅が縮小した。

物価は、価格変動が大きいエネルギーや食料を除いた個人消費支出デフレーター(コアPCE)の上昇率が前期比年率、前年同期比とも1.8%となり、いずれも前期(それぞれ1.3%、1.6%)から拡大した。

キャピタル・エコノミクスのチーフ米国エコノミスト、ポール・アシュワース氏は、今回の結果は「都市封鎖(ロックダウン)が実施されてから2週間分の経済崩壊」の影響しか織り込んでおらず、「第2四半期はさらに悪化するだろう」と述べた。また、ノーザン・トラスト・ウェルス・マネジメントの最高投資責任者、ケイティ・ニクソン氏は、第1四半期の成長率が「悪いのは(事前に)わかっていた」が、「第2四半期の経済活動はより急激に減少しており、(第1四半期のマイナス幅の)大きさはあまり重要ではない」と述べた。(「CNBC」4月29日)。

(権田直)

(米国)

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