職場の新型コロナ感染対策強化に関する指針発表

(フィリピン)

マニラ発

2020年08月19日

フィリピン貿易産業省と労働省は8月14日、「職場における新型コロナウイルス対策ガイドライン」の追補版を発表した(仮訳資料参照)。両省は5月に同ガイドラインを発表していたが、感染対策と経済活動の両立を実現するために、追補版で具体的な要求事項や管理手法を明示し、職場での感染対策を強化する。

まず、基本要件として、職場や入居ビルに入る時の検温と記録、マスクとフェースシールドの着用、従業員間の距離の確保、小まめな消毒、十分な換気、消毒液やペーパータオルの常備、手洗いの励行などが求められる。

次に、大規模または中規模の企業(注)は通勤シャトルサービスを提供し、車内では職場と同様の管理を行い、車中での飲食や会話も不可とする。15分以上の会合や多くの人が参加する集会はビデオ会議とし、物理的な集会を開催する場合は会場の機密性に応じて参加者数を調整する。食堂では1メートル以上の間隔を取り、食器や調味料の共用やビュッフェ形式を避け、互いの接触を最小限に抑える。

さらに、大規模または中規模の企業などは、従業員200人当たり1室の割合で、感染の徴候がある従業員を一時的に隔離する部屋の設置が義務付けられる。エルニド、ボラカイなど主要ビーチリゾートの観光業従事者は4週間に1回、特別警戒地域の製造業や公共サービス従事者は3カ月に1回、同様に、他者との接触が多い運輸業、小売業、飲食業などでも3カ月に1回の頻度でPCR検査を受ける。政府は雇用主の負担で従業員の定期検査を行うよう強く奨励している。感染者が発生した職場と入居ビルは消毒を行い、消毒作業の前後それぞれ24時間は封鎖される。

フィリピンでは感染者数が増え続けており、首都圏近隣地域では8月4日から18日まで比較的厳格な隔離措置を適用していた(2020年8月3日記事参照)。そうした状況を踏まえ、ロドリゴ・ドゥテルテ大統領は8月10日、「医療関係者の要請に沿って厳格な隔離措置を継続したいが、食料の配給や生活補助を続ける財政余力はない」と19日以降の規制緩和を示唆した。

(注)総資産1,500万ペソ(約3,300万円、1ペソ=約2.2円)超の企業を想定。

(石原孝志)

(フィリピン)

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