8月前半の隔離措置を発表、首都圏近隣地域を厳格化

(フィリピン)

マニラ発

2020年08月03日

フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は8月2日、8月1日以降の感染状況悪化を踏まえ、ルソン地方中部のマニラ首都圏と近隣州(カビテ州、ラグナ州、リサール州、ブラカン州)については、8月4日から比較的厳格な制限(MECQ)を適用する方針を発表した〔詳細は「フィリピンにおけるコミュニティ隔離措置の最新状況(8月3日改訂版)」(以下8月3日更新資料)参照〕。同政府は、7月31日に8月1日から15日までの間のコミュニティ隔離措置を発表したばかりだった。

7月31日付発表では、マニラ首都圏と近隣州(カビテ州、ラグナ州、バタンガス州、リサール州、ブラカン州)、ビサヤ地方の経済中心地(セブ市、ラプラプ市、マンダウエ市、タリサイ市、ミングラニラ町、コンソラシオン町)、ミンダナオ地方のサンボアンガ市で比較的緩やかな制限(GCQ)を適用し、その他の地域では最も緩やかな制限(MGCQ)を適用するとしたが、マニラ首都圏と近隣州(バタンガス州除く)は制限が強化された格好だ。

3月中旬から感染対策として広域のコミュニティ隔離措置を施行しており、5月以降は隔離措置を4段階に分け、半月ごとに適用地域を見直している(注)。今回の発表では、セブ市、東部ビサヤ地域の南レイテ州とオルモック市、カラガ地域のアグサン・デル・ノルテ州とブトゥアン市、バンサモロ・ムスリム・ミンダナオ自治地域のバシラン州の制限がそれぞれ一段階緩和された一方、バタンガス州の制限が一段階強化された。なお、GCQ適用地域は多くの日系企業が集積する地域である。GCQ下では、製造業はおおむね通常規模での操業が認められるが、サービス業は稼働率を制限されたり、営業そのものを禁止されたりする業種が少なくない(詳細は8月3日更新資料参照)。

政府は感染対策の一環として業種別に稼働率の上限を定めており、貿易産業省が必要に応じて上限を改定するとともに、事業再開が認められた業種に対して具体的な営業方法や留意事項を提示している。フィリピン政府の7月29日発表によると、現在、営業・操業が厳しい「第4種産業カテゴリー」に分類され、GCQやMGCQの下で限定的な営業が認められている産業の一部を「第3種産業カテゴリー」に移管し、営業制限を緩和する方針が示された。

具体的には、学習塾、フィットネスジム、スポーツ施設、インターネット・カフェ、エステティック・サロン、ペット・グルーミング・サービス、ドライブイン型映画館については、8月1日から、通常の人員の30%以内で営業可能とする。「第4種産業カテゴリー」のボディ・マッサージ、タトゥーおよびボディ・ピアス、ライブ・イベント、娯楽産業、図書館、美術館、文化センター、観光、語学学校、運転教室、その他の各種スクールはMGCQ下でのみ営業が認められる。ただし、闘鶏場、主にアルコール飲料を提供する店、子供向けアミューズメント産業は引き続き営業が禁止される。

(注)ECQ>MECQ>GCQ>MGCQの順で厳格な隔離措置となる。詳細は7月31日更新資料を参照。

(石原孝志)

(フィリピン)

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