ASEAN製造業、各国の回復具合の違いが鮮明に

(ASEAN)

ジャカルタ発

2020年07月07日

IHS MARKITは7月1日、ウェブサイト上外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでASEAN主要7カ国(注1)における6月の製造業購買担当者景気指数(PMI)(注2)を発表した。ASEAN平均のPMIは43.7と、前月の35.5を上回った(2020年6月8日記事参照)。景気拡大の判断目安となる50には届かなかったが、2カ月連続でのポイント上昇となる。同社エコノミストのルイス・クーパー氏は「4カ月連続で50を下回る状況は続いているものの、一部では生産ラインが再稼働し始めた影響により、生産高や新規受注の減少に歯止めがかかっている」と分析する。

調査対象の7カ国全てでPMIが上昇し、ベトナムでは2020年1月、マレーシアでは2019年12月以来の50を超える結果となった。特に、ベトナム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますのPMIは51.1に改善した。新規受注が5カ月ぶりに増加し、また消費者と中間財セクターにおける新規ビジネスが拡張傾向にある。直近2カ月以上、市中での新型コロナウイルスの感染者、死者が確認されておらず、感染拡大をコントロールし、経済活動もほぼ通常どおり行われている。マレーシア外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにおいては、生産高に関する指標の上昇率が過去8年間の調査の中で最高値を記録した。国内の感染状況は収束に向かっており、政府が定めた標準手順書(SOP)を順守する条件で経済活動も再開している。一方、輸出量は4月より増加したものの、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う国際的な需要減少が、マレーシアにとって懸念材料だ。

調査対象国内で最も数値が低かったのはインドネシア(39.1)だ。インドネシア商工会議所(KADIN)のジョニー・ダルマワン副会頭は、現地紙のインタビューに応じ「インドネシアでは現在、大規模社会制限(PSBB)の一環で、事業者や工場は従業員数を通常時の50%を上限とした操業となっている。労働集約型産業が多いインドネシアではロボットなどによる自動化が進んでいないため、PSBB下ではPMIを50まで回復することは難しい」とする(「ビスニス」紙7月1日)。

(注1)インドネシア、ベトナム、タイ、マレーシア、シンガポール、フィリピン、ミャンマーの7カ国

(注2)製造業の購買責任者を対象に、生産高や新規受注、在庫レベル、雇用状況、価格などの指数に一定のウエイトを掛けて算出する指数。0から100の間で変動し、50.0は「前月から横ばい」、50.0を超えると「前月比で改善や増加」を意味して景気拡大を示し、50.0未満は「前月比で悪化や減少」として景気減速を表す。

(上野渉、シファ・ファウジア)

(ASEAN)

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