2020年上半期、特許出願は増加も商標・意匠は減少

(香港)

香港発

2020年07月22日

香港知識産権署から7月17日に、2020年上半期の特許・商標・意匠の出願件数が発表された。

特許については、2019年12月19日に開始した新特許制度「原授標準専利制度」(2019年12月23日記事参照)に基づく出願として、開始から約半年で131件(うち2020年上半期では120件)が出願された。制度開始時の香港知識産権署による予測は初年度の出願件数が年間100~200件だったところ、順調な滑り出しといえる。なお、新制度において実体審査が終了し権利化されたものはまだ0件だ。

従前の再登録による特許制度(標準専利制度)に基づく出願件数は前年同期比7%増の8,974件となった。特許出願件数は2017年以降増加傾向にあり、2019年以降のデモなど社会情勢の混乱や新型コロナウイルスによる経済環境悪化の影響は認められない。

なお、2019年における香港の特許出願は米国籍が約37%、欧州(欧州特許条約加盟国)籍が約26%、中国籍(香港、マカオ、台湾を除く)が約10%、日本国籍が約9%、ケイマン諸島籍が約6%、香港籍出願人が約2%を占めており、近年は中国籍の出願割合が増加傾向にある(2016年は約6%)。また、2019年の出願件数が最も多い出願人はアリババ(ケイマン諸島)、次いでオッポ(中国)、エフ・ホフマン・ラ・ロシュ(スイス)、クアルコム(米国)、ワンコネクト(中国、平安保険の子会社)だった。

一方、商標の2020年上半期の出願件数は前年同期比約15%減の1万6,013件と2桁の減少となった。意匠の出願件数についても、約16%減の1,075件、意匠数で約23%減の2,046項と大きく減少している。商標出願については、2018年までは増加傾向にあったが2019年から減少傾向となり2020年上半期には一段と減少傾向を強めた。また、意匠出願については横ばいだったところ、2020年上半期に大きく減少している。商標・意匠は短期的に市場展開を実施する、または実施予定の商品・サービスに直接関わることが多いため、香港における足元の景気動向の影響を直接受けたものとみられる。

(松本要)

(香港)

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