6月ECイベントが好調、EC大手は過去最高の売り上げを記録

(中国)

上海発

2020年07月01日

6月に開催されたECのビッグセール「618セール」が幕を閉じ、各ECプラットフォームが期間中(6月1~18日)の売り上げを発表した。

アリババが運営する天猫の注文額は6,982億元(約11兆1,712億円、1元=約16円)、EC大手の京東(JD)の注文額は2,692億元(約4兆3,072億円)となった。中国では最大級のECセールであるスーパーセール(毎年11月11日の独身の日前後に開催)の2019年実績と比較してみると、アリババは約2.6倍、京東は約1.3倍となり、いずれも過去最高を記録した。

新型コロナウイルスによる自粛活動が継続していることや、プラットフォーム各社が地方政府や店舗などと合同で消費券を発行して消費を促進していることが背景とみられる(2020年6月12日記事参照)。

また、今年はライブコマースによるプロモーション活動が売り上げに大きく貢献したとの見方もある。ライブコマースでは、キャスターが動画で商品を紹介し、視聴者からの質問もリアルタイムで受け付ける。写真画像を見て購入する通常のEC販売と異なり、より商品を理解することができる。また、ライブ配信のイベントに合わせ、割安な商品やおまけを準備する出店者が多いため、消費者にとっては魅力的なイベントとなっている。

618セール期間中、インフルエンサーのほか、社員や企業関係者が自ら商品紹介をするライブコマースを実施した店舗数は前年同期の約3倍となり、天猫の6月1日のライブコマースによる売り上げは51億元を超えた。中国の大手家電メーカーの珠海格力電器(Gree)の董明珠董事長は6月18日に行われたライブ配信に出演し、当日の売り上げは同社の過去最高となる102億7,000万元を記録した。

商品別では、食品飲料、マタニティー用品、スキンケア製品、生鮮食品、調理器具などの注文数が多く、携帯電話、家庭用電気製品、デジタル製品などは高額でありながらも消費者からの人気が高い商品群もあった。都市別では、北京市、上海市、広州市などの3大都市圏からの注文が多かった(「駆動中国」6月19日)。

また、日本、韓国、フランス、イタリアなどの国々からの越境ECプラットフォームの売り上げも好調で、アリババの越境ECサイト「天猫国際」のセール期間中の取引量は前年同期比30%増となり、消費者が越境ECを利用して海外製品を購入している様子がうかがえた。日本商品ではスキンケア商品や美容器具の売り上げが好調だった(「中国日報網」6月19日)。

(呉秀媛)

(中国)

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