メキシコ市政府、操業再開の事業所への検査義務を変更

(メキシコ)

メキシコ発

2020年07月31日

メキシコ市政府は7月28日付官報で「新常態に向けた移行計画実行指針」の第13次改定を通知し、新型コロナウイルスの警戒信号がオレンジで操業を再開した事業所に対する労働者の検査義務(2020年6月16日記事参照)の詳細を変更した。具体的には以下の変更がなされる。

  1. 事業主負担で検査を実施しなければならない対象事業所を従業員30人以上から100人以上に変更
  2. 毎週検査を実施しなければならない従業員の数を全従業員の5%から3%に削減
  3. 検査の種類をPCR検査に限定
  4. グループ検査〔注〕を実施する場合のグループ上限を20人から15人に削減

従来の指針では、従業員の間に1.5メートルの間隔が確保できない事業所の検査は毎週、この間隔を確保できる事業所は2週間に1度としていたが、その区別をなくし、毎週3%以上の従業員に対して検査が必要となる。今回の改定では、検査対象となる従業員を実際に現場で働いている従業員に限定した。つまり、テレワークで就労している労働者は検査対象外と判断できる。なお、検査実施後に実施日と結果を市当局に報告する義務についての変更はない。

従業員数100人以上の企業にとっては負担増に

今回の改定により、従業員が100人未満の企業は対象から除外されるが、100人以上の事業所にとっては検査の種類がPCR検査に限定されるため、企業にとっての費用負担が増加することが懸念される。従来は、連邦衛生リスク対策委員会(COFEPRIS)が承認した検査であれば、抗体検査などの簡易検査でも許容していた。

〔注〕工場の同一ラインの労働者などをグループ化し、一緒に検査を受けさせる制度。検体はグループ全員から採取するが、グループ全員の検体を混ぜて1つの検体にし、検査を1度実施する。結果が陰性であれば全員が陰性と判断して検査キット1セットの消費で済むが、陽性の場合は全員について検査を個別に再度実施する必要がある。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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