5月の自動車販売、新型コロナ禍で各部門が前年同月比8割以上の減少

(インド)

ベンガルール発

2020年07月29日

インド自動車工業会(SIAM)は新型コロナウイルス感染拡大を受け、4月と5月の月例プレスリリースを行っていないが、ジェトロがSIAMから独自に入手した5月の自動車統計によると、乗用車販売台数〔スポーツ用多目的車(SUV)とバンを含む〕は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、前年同月比85.2%減の3万3,546台と、大幅な減少を記録した(添付資料表1参照)。うち、一般乗用車は89.9%減の1万4,460台、SUVは同75.5%減の1万7,347台、バンは86.4%減の1,739台といずれも急激な落ち込みを見せた。新型コロナウイルス感染対策の全士封鎖の影響で4月の乗用車販売は0台を記録したが、5月に封鎖が段階的に緩和され、各メーカーが生産・販売を再開し、需要は緩やかな回復基調を見せ始めている。

5月の乗用車販売は、主要メーカー12社のうち半数の6社が8割以上減少した(添付資料表2参照)。首位のマルチ・スズキは88.7%減の1万3,702台、2位の現代自動車が83.8%減の6,883台、3位のマヒンドラが81.2%減の3,867台となったほか、他のメーカーも軒並み激減した。

二輪車部門の5月販売台数も、83.8%減の27万9,682台と大幅に落ち込んだ。うち、スクーターの販売台数が前年同月比86.5%減の6万9,196台、オートバイも83.0%減の19万7,378台と、ともに8割以上減少した。4月に全士封鎖で販売を登録できなかった各メーカーは、5月以降は国内出荷を開始しており、需要は次第に回復すると見込まれている。

商用車の販売データは発表されていないが、乗用車、二輪車、三輪車を含む5月の自動車販売は84.3%減の31万5,638台だった。自動車業界は5月以降、需要が徐々に回復しつつあるものの、新型コロナウイルスによる経済低迷長期化の懸念から、販売は今後も低水準で推移することが予測され、従来に戻るには時間がかかるとみられている。SIAMは、2020年度通年のインドのGDP成長率を1%未満とも予測しており、この場合、自動車販売は22~35%程度の減少が見込まれるという。SIAMは今後、消費者の購入意欲喚起のため、政府に対し、自動車に適用される物品・サービス税(GST)を現在の28%から18%に引き下げることや、インセンティブを付与した自動車リサイクル政策の導入などをあらためて要求しているが、政府の反応は不透明なままだ。

(ディーパック・アナンド)

(インド)

ビジネス短信 82a262b17c929ff1