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欧州委、2020年のEUの成長率見通しをマイナス8.3%に下方修正

(EU)

ブリュッセル発

2020年07月08日

欧州委員会は7月7日、夏季経済予測(中間予測)を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(注1)。各加盟国のロックダウン措置緩和のペースが、5月6日に発表した春季経済予測(2020年5月8日記事参照)の想定よりも遅れているとし、2020年のEU27カ国の実質GDP成長率をマイナス8.3%、ユーロ圏19カ国をマイナス8.7%と予測し、それぞれ春季経済予測から0.9ポイント、1.0ポイント下方修正した。

国別では、前回予測からの下げ幅が大きかった順に、ポルトガル(3.0ポイント下方修正)、フランス(同2.4ポイント)、スロバキア(同2.3ポイント)など9カ国で1ポイント超の下方修正となった。今回の予測で2020年のマイナス成長率が2桁に達したのは、イタリア(マイナス11.2%)、スペイン(マイナス10.9%)、クロアチア(マイナス10.8%)、フランス(マイナス10.6%)の4カ国だった(添付資料表参照)。

四半期ごとの成長率(前期比)では、2020年第1四半期(1~3月)はEU27カ国でマイナス3.2%、ユーロ圏ではマイナス3.6%。ロックダウンの開始がほとんどの加盟国で3月中旬以降だったにもかかわらず、第1四半期の時点で大幅なマイナス成長に突入した背景として、欧州委は、1月から2月にかけて取られた中国の経済封鎖措置の影響を挙げている。同第2四半期(4~6月)はEU27カ国で前期比マイナス13.1%となり、スペイン(マイナス16.9%)、フランス(マイナス16.8%)を筆頭に、ほとんどの加盟国が前期比で2桁のマイナス成長を記録した。他方、欧州委は5月および6月のデータからは最悪期を脱したことが読み取れ、加盟国によって状況は異なるものの、2020年後半には経済の回復が予想されると指摘した。

感染第2波がさらなる下振れリスク、労働市場への悪影響拡大を懸念

欧州委は、現状は極めて不透明であり、かつ、下振れリスクが高いと分析している。下振れリスクとしては、今回の予測はまず、ロックダウン措置が段階的に解除される前提に基づいており、いわゆる新型コロナウイルス感染第2波を考慮していない点を挙げた。また、雇用面では各国が導入した一時帰休制度や時間短縮勤務によって失業率の悪化がある程度食い止められてきたものの、事態が長期化した場合、労働市場への悪影響が拡大する恐れもあるとも指摘。そのほか、予測ではEUと英国の将来関係について現状維持(注2)を仮定しているが、交渉の結果次第ではリスク要因となり得ると述べている。

反対に、予測よりも上振れし得る要因としては、新型コロナウイルスに対するワクチンの早期普及を挙げたほか、欧州委が提案する復興基金「次世代のEU」(2020年5月28日記事参照)を中心とした復興パッケージは予測では考慮されておらず、成立すれば効果が期待される強調とした。

(注1)中間経済予測では、実質GDP成長率と消費者物価上昇率のみ発表。欧州委員会は春と秋に、GDPの各構成要素や失業率、財政収支の対GDP比などを含む包括的な経済予測を発表し、夏と冬に中間経済予測を発表する。

(注2)欧州委は、経済予測の上でテクニカルな理由から現状維持と仮定したにすぎず、交渉結果について何ら予断するものではないとしている。

(安田啓)

(EU)

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