金融規制緩和で中小企業向けオンラインバンク登場

(ブラジル)

サンパウロ発

2020年07月07日

フィンテックのスタートアップのCora外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは6月23日、ブラジル中央銀行が2018年4月26日付決議4656号により定めた、「直接的クレジット組織(以下、SCD:sociedade de crédito direto)」の承認を受けたことを、同社ホームページで発表した。

Coraは、2019年に中小企業向けの金融サービス開発を目指して創業。同年12月にブラジルのカゼッキ・ベンチャーズ、米国のラビット・キャピタルから1,000万ドルを調達した。

「直接的クレジット組織(SCD)」に認定されたフィンテック企業は、スマートフォンなどの電子プラットフォームで、従来型の金融機関と同等のサービスを単独で提供することが可能となる。これによりCoraは、例えばオンライン口座の開設のみならず、さまざまな取引で使用されるブラジル独自の支払伝票(ボレット・バンカリオ)を、ブラジル中銀とのパートナー提携なしに発行できるようになった。中小企業が顧客に対して、手数料なしで何度でも支払伝票を発行できるようになるほか、異なる銀行への送金も手数料がかからない。今後はクレジットカードやデビットカードも発行する予定と述べており、より充実したオンラインバンクの機能を果たす。同社のイゴール・センラ最高経営責任者(CEO)は6月1日付の国内大手テレビ番組「Revord News」において、「ブラジル中央銀行の規制緩和により、大手金融機関による独占市場に参入余地が生まれた。中小企業の手が届くサービスを提供することで金融市場が競争し、活性化させることができる」と述べている。

中小零細企業のニュースを伝える、6月23日付の現地紙「ペケーナス・エンプレーザス&グランジス・ネゴシオス」によれば、同社のターゲット層は年収480万レアル(約9,600万円、1レアル=約20円)未満の中小企業で、約5,000件の登録があるという。同社のアプリケーションはGoogle Play外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますAppStore外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでダウンロードできる。

(古木勇生)

(ブラジル)

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