融資関連フィンテックへの外資100%出資を認める法令が施行

(ブラジル)

サンパウロ発

2018年11月06日

ブラジル中央銀行が2018年4月26日付決議4656号により定めた、「直接的クレジット組織(SCD:sociedade de crédito direto)」および「個人間融資組織(SEP:sociedade de empréstimo entre pessoas)」(注)に関し、外資の100%出資を認める10月29日法令9544号が施行した。ブラジルでは、銀行など通常の金融機関に外資の出資は認められているが、手続きとして中央銀行の審査・認可と、「ブラジル国家の利益につながる」と法令で承認される必要がある。当地大手法律事務所によれば、法令9544号によって、SCD、SEPに関して後者の手続きが必要なくなる。

SCDおよびSEPは、電子プラットフォームを介して融資を行うフィンテックだ。ブラジルの政策金利は2018年10月末時点で年率6.5%だが、中央銀行の資料で個人向け融資の貸出金利をみると、9月時点で52.2%、法人向けは20.4%と高率だ。政府が積極的に同分野のビジネス促進を促す背景には、フィンテックの参入により競争を促し高金利構造を是正する狙いがある。

なお、内資系企業が個人間融資のフィンテック事業を行っているケースもある。例えばNexoos外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、融資を希望する中小企業と、投資を希望する個人を募って仲介するサービスを2015年から行っている。同社の場合、登録する中小企業は2年以上の事業実績があり、最低でも25万レアル(約775万円、1レアル=約31円)以上の年間売上高を求めている。一方で投資家は、一案件当たり最低2,000レアル、最初は3案件以上への投資が条件となる。同社のウェブサイト(11月3日アクセス時点)によれば、企業側は銀行の融資に比べて安価で資金を調達でき、投資家も一般的な金融商品に比べて高い利回りを得ることができるという。また、これまでの融資仲介実績は9,467万レアルとしている。

(注)SEPに関しては、貸し手、借り手は自然人に限らず、法人も対象となる。

(二宮康史)

(ブラジル)

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