新型コロナ受けWTOが分析、医薬品・医療用品の平均関税率は4.8%

(世界)

国際経済課

2020年07月07日

WTOは7月6日、関税に関する年次報告書であるWorld Tariff Profilesの2020年版外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。この報告書は、WTO加盟国・地域の譲許税率や実行関税率を商品分類別に整理した資料、および貿易救済措置(アンチダンピング、補助金相殺関税措置、セーフガード)の導入状況から構成され、多くの加盟国・地域の2019年時点の税率を参照できる。

今回発表された2020年版では、新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の拡大を受け、これに関連する品目の関税率に特化して分析した章を新設した。これによると、医薬品や医療用品に対し、WTO加盟国・地域が賦課する関税の平均実行税率は4.8%であることが分かった。このうち、医薬品の平均税率は2.1%と比較的低いものの、マスクなどの防護用品に掛かる関税は高く設定される傾向にあり、平均11.5%に上る。防護用品に15%超の関税を課す国・地域も47に上るなど、医薬品や医療機器と比べて関税が大きな障壁である様子がうかがえる。

なお、世界税関機構(WCO)が新型コロナ関連用品として別途定義した品目に絞れば、WTO加盟国・地域の平均実行関税率は9.6%に上る。新型コロナの感染拡大を受け、多くの国・地域が関連製品へのアクセス改善を目指して輸入関税を削減・撤廃したものの、これらの中には一時的な措置も少なくない。EUなどは、医薬品・医療用品の関税撤廃を将来的にWTOルールとして確立させる提案を行っている(2020年6月17日記事参照)。

(吾郷伊都子)

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