「コロナ禍」で観光セクターは約900億レアルの機会損失、約73万人の失業の恐れ

(ブラジル)

サンパウロ発

2020年06月19日

全国商業観光連盟(CNC)は6月9日、新型コロナウイルス感染拡大の影響により観光セクターの機会損失額が3~5月の3カ月間で約900億レアル(約1兆8,396億円、1レアル=約20.44円)となり、3月から6月末までに同セクターで72万7,800人の雇用が失われる見込みと発表した。

観光部門は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けたセクターの1つだ。ブラジルでは2月末に初の新型コロナウイルス感染者が発覚して以降、急速に感染者および死亡者数が増加しており、現在もその数は増え続けている。

同セクターの機会損失額は、3月が13億3,800万レアル、4月が369億4,000万レアル、5月が374億7,000万レアルで、合計877億9,000万レアルとなった。地域別にみると、その半分以上を、リオデジャネイロ州(124億8,000万レアル)とサンパウロ州(317億7,000万レアル)で占める。

CNC会長のホセ・ロベルト・タドロス氏は、「雇用の維持を目的とした暫定措置令(MP936)により、影響を抑えることができた」と強調する。MP936は、国内での新型コロナウイルス感染拡大に伴い、従業員の解雇を阻止するための措置で、一定期間従業員への給与を削減または雇用を停止することができる(2020年4月9日記事参照)。ただ、タドロス会長は「私たちが経験している歴史的危機によって引き起こされた同セクターの損失やダメージに対しては、企業と雇用の維持を目的とした追加措置が必要」と補足している。

ブラジル観光観測所(RBOT)は、パラナ州観光観測所(OBSTUR/PR)と連携し、観光セクターに関わりのある国内15州、4,921人に対して、新型コロナウイルス感染拡大への影響に関する調査結果を6月15日に発表している。回答者数のうち51%が「2021年以降に事業回復見込み」と回答しているが、2020年の収入については、37.5%が「75%~100%減少する見込み」と回答しており、資金繰りの見直しや人員削減を行わざるを得ない事情がわかった。

(松平史寿子)

(ブラジル)

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