中国産自転車の欧州向け輸出が急増、新型コロナ対策で利用奨励

(中国)

上海発

2020年06月12日

中国の欧州向け自転車の輸出が増加している。アリババ傘下の越境ECサイトによると、5月のスペイン向けの自転車販売額は前年の23倍と急増し、イタリアと英国向けも前年の5倍となった。また、イタリア向け電動キックボードの販売額も前年の10倍、英国向けは9倍、フランス向けは4.8倍、スペイン向けは3.8倍と軒並み増加している(「21世紀経済報道」6月4日)。

中国の自転車メーカーSAVAの責任者によると、4月以降、受注台数は前月比3割増を維持しており、通常であれば受注後3日で納品できたが、現在は1週間以上かかっている。電動キックボードメーカーJanobikeの場合、3月以降の売り上げは前月比3~4割増のペースで推移しており、輸出用の在庫もなくなった。電動自転車メーカーのSheng Miloも、生産拡大のため工場面積と作業員数を倍増する計画だ。

中国の欧州向け自転車輸出が増加する背景について、アリババ傘下のECサイトのアリエクスプレスのスポーツ用品販売責任者である李凱氏は「中国では自転車の部品から完成車までを生産でき、サプライチェーンが完成している。全世界で販売される自転車のうち7割以上が中国製で、中国製品はコストパフォーマンスが優れている」とコメントした(「中国新聞網」6月5日)。

自転車利用奨励で需要が急増

欧州各地では新型コロナウイルスの感染予防のため、自転車の利用を推奨する動きがある。イタリアでは5月4日から都市封鎖が段階的に解除されたが、公共交通機関の利用には人数制限などがあり、「密」を避けられる自転車の利用を促している。イタリア政府は自転車や電動の個人用移動手段(電動キックボード、ホバーボード、セグウェイなど)を購入する際、500ユーロを上限に購入費用の60%を補助している(2020年5月28日記事参照)。5月11日に都市封鎖を解除したフランスでも、国民の自転車外出を推奨するため、政府が自転車の補修転換や修理費用を支援し、総額2,000万ユーロを支出する計画を発表した。また、企業の経営者が自転車で通勤する従業員に対し、1人当たりに400ユーロの補助を提供するとした。

(龐婷婷)

(中国)

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