自転車などの購入に補助金、ポスト・コロナを見据え

(イタリア)

ミラノ発

2020年05月28日

イタリア環境・国土・海洋保全省は5月21日、自転車などの購入に対する補助金「モビリティー・バウチャー」(Buono Mobilità)に関する「よくある質問(FAQ)」を発表した。イタリアでは、新型コロナウイルス感染による影響の拡大を受け、5月13日に新たな経済対策「再出発令」(Decreto Rilancio)を発表しているが(2020年5月26日記事参照)、今回の補助金は「コロナ後(ポスト・コロナ)」を見据えて同令の中で定めたもの。

「モビリティー・バウチャー」の活用により、自転車や電動の個人用移動手段(電動キックボード、ホバーボード、セグウェイなど)を購入する際、500ユーロを上限に、購入費用の60%の額の補助が受けられる。5月4日から12月31日までの購入が対象。感染拡大防止のため、乗客数の制限など公共交通機関の利用に現在規制がかかっていることを踏まえ、特に都市部の人々に対してサステナブルな移動手段の利用を促し、移動の自由を保障することを目的としたものだ。なお、機器自体の購入のみならず、いわゆるシェアリング型のモビリティーサービスの利用にも適用できる(自動車のシェアリングサービスは除く)。

2021年も「モビリティー・バウチャー」は継続する見込みだが、条件は異なり、同年中に環境負荷を与える自動車をスクラップにすると、1台につき1,500ユーロ、オートバイの場合は1台につき500ユーロのバウチャーを取得できる仕組みが検討されている。

セルジオ・コスタ環境・国土・海洋保全相は「イタリアは世界で2番目の自転車製造国であり、「コロナ後」の再生過程において都市部のモビリティーの変革を大胆に進め、グリーンモビリティーを達成していくことになるだろう」と述べている。

イタリアでは、ポスト・コロナを見据えた新たな動きは自治体レベルでもみられる。ミラノ市は4月24日、自転車専用レーンの拡張工事を始めることを発表した。公共交通機関の利用制限も1つの理由だが、車の渋滞を防ぐこと、環境低負荷な移動手段の利用を推進することで空気汚染を防ぐ狙いがある。12月にかけて、現行の220キロに及ぶ自転車専用レーンに新たに35キロ分を追加するほか、駐輪スペースも増やす予定だ。

(山崎杏奈)

(イタリア)

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