GDP予測成長率再改定、前回予測より上向くもマイナス6.2%、旅行・宿泊・飲食業に大きなダメージ

(スイス)

ジュネーブ発

2020年06月18日

スイス連邦経済省経済事務局(SECO)は6月16日、実質GDP成長率予測を再改定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(前回改定は4月23日、2020年4月27日記事参照)した。2020年は新型コロナ感染防止のための活動制限措置により大きな影響を受けるが、政府の各種対策により感染者数が急減したことで、前回4月予測値のマイナス6.7%から、わずかに上方修正してマイナス6.2%となった(添付資料表参照)。

SECOの分析によれば、操業短縮による時短労働と失業率の上昇、雇用の減少により家計所得は減少するとの見通しだ。また、将来の経済的不確実性が大きいこと、感染対策措置を講じる必要があることにより、民間消費支出も制約を受ける。世界は景気後退に突入しており、主要国でも新型コロナウイルス感染封じ込めに至っていない国がある。南欧のスイスの主要貿易相手国でも、新型コロナウイルス感染の影響が続き経済成長が見込みにくいことから、景気循環に敏感な輸出産業に打撃を与える。設備利用率の低下と、ビジネス資金環境の悪化、そして経済的不確実性の高まりにより、設備投資は大幅に減少したままとなる。

2021年には、スイス経済は緩やかな回復を続けると予測される。2020年のような感染防止措置が再び導入されずに済み、レイオフや企業破綻といった経済減速の第2波が限定されたものとなり、国外需要が徐々に従前のレベルに戻るという前提で、GDP成長率は4.9%と見込む。国内消費と設備投資も徐々に回復するが、労働市場の改善はあっても非常に遅いものとなり、失業率は4.1%まで上昇すると予測する。

今回は、産業別の分析も併せて公表されている。空運業、旅行業、宿泊・飲食サービス業、芸術・娯楽業は、2020年4月の収益がほぼゼロか前年比10%程度に落ち込んだとみており、2020年通年での経済ダメージは、空運業、旅行業で45~65%前後の減、ホテル業、芸術・娯楽業で30~45%減となると見込んでいる。逆に、化学・医薬品製造業は2020年では0~5%、郵便・宅配業は0~10%のプラス成長を見込んでいる。

(和田恭)

(スイス)

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