EU・ユーロ圏の4月の失業率、ともに前月比0.2ポイント悪化

EU統計局（ユーロスタット）の6月3日の発表によると、4月のEU27カ国全体とユーロ圏19カ国の失業率（季節調整済み）は、前月からともに0.2ポイント悪化し、それぞれ6.6％、7.3％となった（添付資料表参照）。EUでは多くの加盟国で3月から新型コロナウイルスに関する制限措置が実施されており、4月も継続していた。失業者数は、前月比ではそれぞれEU全体で39万7,000人、ユーロ圏では21万1,000人の増加となった。

4月の失業率を加盟国別にみると、チェコが2.1％と最も低く、スペインが14.8％と最も高かった（ただし、最新データが未発表のギリシャは、2月時点で16.1％）。

失業率が前月から0.5ポイント以上悪化した加盟国は、キプロス（2.2ポイント増）、リトアニア（2.0ポイント増）、ブルガリア（1.7ポイント増）、ラトビア（1.6ポイント増）、クロアチア（1.3ポイント増）、スロバキア（1.2ポイント増）、フランス（1.1ポイント増）、ルクセンブルク（0.9ポイント増）、スロベニア（0.8ポイント増）、スウェーデン（0.7ポイント増）、スペイン（0.6ポイント増）、オランダ（0.5ポイント増）の12カ国だった。

ユーロスタットによると、新型コロナウイルスに関連した制限措置を受けて、3月以降、引き続き失業手当の申請件数が急激に増加している。なお、イタリア（8.0％→6.3％）など、一部の国でコロナ危機の実態とは異なる値となった背景について、ILOが定義する失業者と実際の失業者数の間に不一致が生じていると説明する（2020年5月8日記事参照）。

4月のEU27カ国の若年層の失業者数は277万6,000人で、このうち223万9,000人がユーロ圏19カ国の失業者だった。若年層の失業者数の変化を前月比でみると、EU27カ国全体では15万9,000人、ユーロ圏では8万9,000人の増加となった。

加盟国別に見ると、フランス（64万7,000人、若年層失業率21.8％）、スペイン（53万8,000人、同33.2％）、イタリア（25万5,000人、同20.3％）が引き続き大部分を占めた。フランスとスペインでは、若年層失業率が前月からそれぞれ3.4ポイント、0.8ポイント悪化したものの、イタリアでは前月比で6.2ポイント改善した。

若年層失業率が最も低かったのはドイツ（5.3％）、最も高かったのはスペイン（33.2％）だった（ただし、最新データが未発表のギリシャは2月時点で35.6％）。

（大中登紀子）