リー首相が国会解散、7月10日投票へ

(シンガポール)

シンガポール発

2020年06月24日

シンガポールのリー・シェンロン首相は6月23日、国民に向けたテレビ演説で、国会の解散を発表した。6月30日に公示、投票日は7月10日に決定した。投票日は公休日となる。

次回総選挙は2021年4月までの実施と決まっていたが、同国では最近、総選挙が7月にも前倒しされるとの観測が高まっていた(2020年6月10日記事参照)。2015年9月の前回総選挙では、1965年の独立から長期政権を維持してきた与党・人民行動党(PAP)が定数89のうち83議席を獲得した。得票率も過去最低だった2011年の60.1%から69.9%に上昇した(2015年9月15日記事参照)。今回の総選挙では、選挙区は17のグループ選挙区(注)と14の1人区からなり、定数は93に増える。

「新型コロナウイルス」下での総選挙実施へ

今回の総選挙は新型コロナウイルス感染の再拡大を警戒しながらのものとなる。4月7日から6月1日まで感染拡大防止のために必須サービスを除く職場閉鎖を実施したが、6月2日から3段階で職場閉鎖が解除され、19日からはほぼ全ての経済活動の再開が認められる職場閉鎖解除の第2段階(フェーズ2)に移行している。選挙局(ELD)は18日、感染防止のための暫定的な選挙ガイドラインを発表した。ガイドラインでは、選挙集会を禁止してオンライン集会とするほか、投票所を増やし、投票時間を指定するなどを定めている。

リー首相は、新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いている状況下で早期に総選挙に踏み切ることで、新政権が経済や雇用対策に専念できる時間を確保できると説明した。首相は有権者に向け、「選出された新政府は重大な決断を行うことになる。その決断は国民の暮らしに影響を与え、次の政権の5年の任期を超える先々までの国家を形成するものになる」と強調した。

シンガポールで6月23日に確認された新規感染者は119人で、同日までの感染者累計は4万2,432人となった。

(注)グループ選挙区(GRC)は4~5人の候補者を擁立する選挙区で、華人以外の少数民族の声を国会に反映することを目的に、候補者の少なくとも1人が少数民族である必要がある。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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