米国の日系自動車メーカー、操業再開後の感染対策を発表

(米国)

アトランタ発

2020年06月04日

米国内の自動車メーカーでは、生産再開後に、従業員の新型コロナウイルス感染が発覚し、生産の一時中断を余儀なくされるケースが相次いでいる(2020年5月22日記事参照)。こうした中、日系メーカーも生産再開に当たり、最重視する感染防止対策を発表した。

日産自動車は5月27日、米国での自動車生産を6月から段階的に再開することを発表した。6月1日にテネシー州デッチャードのパワートレイン工場とミシシッピ州カントンの組立工場を再開し、テネシー州スマーナの組立工場は8日に再稼働する。シニア・バイスプレジデントのスティーブ・マーシュ氏は「最優先事項は、従業員の安全確保のために徹底した予防策が講じられていると確信できるプロトコルを示すこと」と述べた。同社は米国疾病予防管理センター(CDC)と米国労働安全衛生局(OSHA)のガイドラインを基に策定したという、工場再開に向けた安全対策ガイドラインPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表している。

それによると、全従業員に職場復帰の際、ウェルカムバック・レターが配布され、同社が講じる、あるいは従業員に求める安全対策について、同意し署名することが義務付けられている。同社は従業員にマスクを支給し、着用は必須となる。作業場でのローテーション最小化、ソーシャルディスタンスを維持するための作業場の再設計、コントローラーの使用を1人に限定、食事の持参推奨、毎日の健康チェックなどを実施する。生産ラインのシフトは、現状の市場需要と再開計画に合わせて調整される。

既に生産を再開している日系メーカーも、それぞれ安全対策を講じている。トヨタ自動車は安全対策ガイドラインPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を公表し、フェイスカバー着脱方法や取り扱いに関わるトレーニング受講、作業場ローテーション時の6分間消毒時間の確保、作業道具の共有の自粛など、基本の感染対策から工場ならではの対策を講じている。工場閉鎖期間中は、従業員の健康対策として、社内アプリを活用したチームメンバーとのコミュニケーション、運動を奨励するバーチャル・フィットネスプログラムの提供、毎週スーパーバイザーが全チームメンバーに電話面談をするなどの「面倒見(Mendomi)ケア・アンド・コンサーン」プロジェクトを実施したという。

アラバマ州などに工場を持つホンダは、全ての従業員、サプライヤー、請負業者、訪問者の検温、全員のマスク着用義務に加えて、一部の領域でフェイスカバー追加を必須としている。混雑回避のため、シフト開始時刻をずらす、昼食・休憩時間をずらす、カフェテリアの座席再構成などを実施している。

(ユン啓子)

(米国)

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