2019年のVC投資額は過去最高に、今後は不動産仲介EC企業の成長に注目

(ブラジル)

サンパウロ発

2020年06月01日

ラテンアメリカ・プライベートエクイティ&ベンチャーキャピタル協会(以下、LAVCA)は5月に作成した年次評価で、ブラジルでのベンチャーキャピタル投資額は3年連続で倍増し、2019年に25億ドルに達したとこのほど発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。シリコンバレーに拠点を置く世界最大の投資会社であるセコイア・キャピタルなどによるヌーバンク外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(金融分野)への4億ドルの投資、ソフトバンク・イノベーション・ファンドなどによるジムパス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(健康分野)への3億ドルの投資、同じくソフトバンク・イノベーション・ファンドなどによるキントアンダール(不動産分野)への2.5億ドルの投資(2019年9月12日記事参照)などのユニコーン企業(企業評価額10億ドル以上の未上場企業)への投資が大きく牽引した。

LAVCAは新型コロナウイルス感染拡大の影響については、世界的な感染症拡大により投資機会の見極めが難しく、前年までの様に着実な投資活動が維持されることは難しいと指摘した。投資家は投資先の事業支援に移行する動きもみられる。一方、技術の力で医療・健康・教育・物流などを新たな生活様式に順応させる需要が生まれると述べている。「新型コロナウイルス感染拡大の影響を如何に乗り切るか」、という視点では不動産分野も注目に値するとする。不動産分野へのベンチャー投資額は、2017年は160万ドル、2018年は7,950万ドル、2019年は4億1,400万ドルと拡大してきた。同分野は現在の社会的隔離措置がテナントの新規契約の障害となっている一方で、ブラジルの史上最低金利による低利融資の可能性など追い風になる要因もある。これまでのベンチャー投資で生まれてきたAI搭載の不動産仲介EC企業(キントアンダール外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますロフチ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますカーザス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますなど)のサービスは、同業界が新たな環境に適合していくための牽引役になる可能性がある。

(古木勇生)

(ブラジル)

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