新型コロナウイルス感染症対応、封じ込めからクラスター対策に転換

(スイス)

ジュネーブ発

2020年06月10日

スイス政府は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う活動制限措置の緩和が6月6日から第3段階に入った(2020年5月29日記事参照)ことを踏まえ、感染症対策の方針を大きく転換したことを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。封じ込めからクラスター対策に重点を移す。

キャンペーンカラーについては、当初は危険を示す「赤」だったものを5月から警戒の「ピンク」にしたが、これを「青」に変更した。提供すべき情報も、緊急対策に関する情報から、新型コロナ後の「新しい常態(ニューノーマル)」に向けて感染者数を低いレベルにとどめ、感染の第2波を防ぐための保護対策が中心となっている。接触追跡では、感染が明らかになった、あるいは疑われた人との接触対象者を明らかにすることにより、感染の連鎖を特定し封じ込めるための効果的な方策と考えられている。

感染検査と隔離・検疫について

新たなステージでは、以下の3つのルールに従う必要がある。

  • 検査:新型コロナ感染が疑われる症状が出た場合、すぐに検査を受け自宅待機する。
  • 追跡:感染者との接触追跡のために、可能な限り接触者の連絡先を提供する。
  • 対策:検査で陽性になった人は隔離、陽性者と接触のあった人も他者との接触をしない。

なお、面識のない人にも陽性者との接触情報を通知するスマートフォンアプリ「SwissCovid」が近日中にリリースされる予定(2020年6月5日記事参照)。

罰金の廃止

個人の責任ある対応を前提として、30人までの集会の解禁や300人までのイベントの開催などを許可する制限緩和措置が講じられている。ソーシャルディスタンスの確保が引き続き求められるが、違反に対する罰金は廃止する。

引き続き警戒をもった行動が必要

感染防止のため、引き続き次のような適切な行動が求められる。

  • 可能な限り2メートルのソーシャルディスタンスを保つこと。それが難しい場合には公共の場ではマスクを着用することが推奨される。
  • ソーシャルディスタンスが守れずマスクも着用できないという状況を避ける。誰と接触したかを記録し、検査で陽性が出た場合に接触があった人が特定できるようにすべき。これは、症状が出る2日前から隔離される日までに接触があった人が対象。
  • 参加者リストに連絡先を記録すること。レストランやスポーツ施設、劇場利用者に対して陽性者が発生した場合に連絡する唯一の手法となる。
  • 抱擁や握手を避ける。
  • 手洗いを定期的に念入りに行う。
  • せきやくしゃみはティッシュペーパーか自分の肘の内側でカバーする。

感染症対策PR素材

感染症対策のポスターなどの素材はこれまで50万回以上ダウンロードされ、店頭などで広く掲示されてきた。今後は「青」のキャンペーンカラーのPR素材がダウンロードサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますから提供される。

(和田恭)

(スイス)

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