5月のインフレ率は1.5%、年率では43.4%に
(アルゼンチン)
ブエノスアイレス発
2020年06月17日
アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)は6月11日、5月の月間インフレ率〔消費者物価指数(CPI)上昇率〕は1.5%(年率43.4%)だったと発表した(添付資料図参照)。前月の1.5%に続く低い伸び率となった。6月11日付の現地紙「ラ・ナシオン」は、新型コロナウイルス感染が拡大する状況下で、公共料金や為替レートに大きな変動がなく、食品や通信サービスといった必需品の価格統制が継続していることなどが要因と伝えている(2020年5月21日記事参照)。
4月の月間インフレ率を分野別にみると、衣類・靴類の上昇率が7.5%と抜きんでている。Eコマースを通じた購買ニーズの高まりや、一部地方都市で外出禁止令が緩和されたことによって、冬に向けた衣替え需要が起きたためだとINDECは分析している(添付資料表参照)。
また、2020年に入って初めて食品・飲料(酒類を除く)部門の月間インフレ率(0.7%)が産業平均(1.5%)を下回り、ブエノスアイレス都市圏では0.3%という低率となった。肉・同加工品(マイナス0.5%)果物(マイナス1.1%)、ミネラル水・炭酸飲料・ジュース(マイナス1.7%)などが引き下げ要因となった。
今後の見通しについて、民間調査会社エコラティーナは6月7日付の同社ウェブサイトで、現在のインフレ率の低下は構造的なトレンドではなく一時的なものであり、外出禁止令とそれに伴う諸規制が終わった後には、それ以前のレベルに戻るかそれを超えることさえある、と指摘する。また、中央銀行は、2020年央から後半にかけて月間インフレ率が3%台を超える見込みで、年間インフレ率は43.3%(前回比1.2ポイント減)と予測している(2020年6月8日記事参照)。
(紀井寿雄)
(アルゼンチン)
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