経済回復は年後半から、最新の中銀経済見通し

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2020年06月08日

アルゼンチン中央銀行は6月5日、国内外40人の民間エコノミストらによる最新の経済見通しの集計中央値(REM)を発表した。同見通しは毎月、中銀が民間エコノミストらを対象に実施するアンケートで、今回の見通しは5月26~29日の期間に回答を得たものだ。

新型コロナウイルス感染拡大防止のため、アルゼンチン全土で外出禁止令が発令されてから2カ月を超え、経済活動の制約を受けて、経済指標はさらに厳しさを増している。なかでも2020年の実質GDP成長率の予想値は、前回から2.5ポイント低下してマイナス9.5%となった。四半期ごとの見通しでは、2020年第1四半期が前年同期比マイナス4.5%(前回比2.8ポイント減)、第2四半期がマイナス12.0%(同3.0ポイント減)、第3四半期が5.0%(同3.0ポイント増)となった。エコノミストらは、新型コロナウイルス感染拡大による経済へのインパクトは、2020年第2四半期を底として、そこからは急激に回復すると見ている。なお、REMでは、2021年の成長率は4.5%(前回比0.7ポイント増)、2022年は2.0%(変化なし)とのプラスの見通しになっている。

また、インフレ率の予測では、月間インフレ率が、5月1.7%、6月2.3%、7月3.0%、8月3.3%、9月3.7%、10月4.0%といったように、年央から後半にかけて3%台を超える見込み。2020年は年間インフレ率が43.3%(前回比1.2ポイント減)、2021年は41.1%(同1.2ポイント増)、2021年は34.8%(同2.3ポイント増)と複数年にわたってインフレ率が下がりにくい状況になると見通している。アルゼンチンで新型コロナウイルスが感染拡大する以前の1月のREMでは、年間インフレ率が2021年は31.3%、2022年は25.5%であったことから、民間エコノミストらは、新型コロナウイルスによる影響への対策に関する財政拡大やその後予想される経済回復によって、インフレ率が低下し難い状況になると見通しているということだ。

(紀井寿雄)

(アルゼンチン)

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