食品、必需品、通信サービスの価格凍結が継続
(アルゼンチン)
ブエノスアイレス発
2020年05月21日
アルゼンチン政府は、5月18日付官報を通じて工業生産・開発省国内商業庁決議133/2020号を公布した。必需品の販売上限価格を統制する制度を6月30日まで延長する。
販売上限価格制度とは、国内商業庁決議100/2020号に基づき、食料品をはじめとした生活必需品の一般消費者向け販売価格を、3月6日付の店頭価格に凍結するよう義務付ける制度。同決議は、政府が3月20日から導入している公衆衛生上の緊急事態による外出禁止令の前日の公布されたもの。価格凍結の対象となるのは、全国のスーパーマーケット、卸売りスーパーなどで販売される約2,300品目。政府サイトでは、州別の価格リストが参照できる。
政府は、「食品、衛生用品、日用品などの販売価格が、現状の生産コストと見合わないかたちで高騰していることを確認した」とし、新型コロナウイルス感染拡大によって、前例のない社会問題が発生する可能性が高い中、適切な措置を取り入れることで国内経済への影響を緩和し、全国民が公正、平等かつ適切に「必需品に手が届くよう促すことが目的」だと説明している。また、対象品目の生産、流通、販売に関わる国内企業に対しては、工場の稼働率を最大まで引き上げ、しかるべき流通と供給を行うよう呼び掛けている。新型コロナの感染状況によっては、同制度を再び延長するとしている。
民間企業側は、度重なる生産コストの上昇により、同制度の見直しの必要性を政府に訴えている。特に食品産業会(COPAL)は、外出禁止令によって物流面での問題が生じており、同産業は多大なダメージを受けているとして政府に改善を求めている。また、卸売りスーパー・ディストリビューター会議所は、上限価格凍結が行われ始めた時から入荷できる製品が不足しており、「売り上げが10%減少した」と訴える。さらに、段階的に価格を上げられないことで、「制度が撤廃された時点で一気に価格高騰が生じることになるため逆効果だ」と批判している。
電話、携帯電話、インターネット、有料テレビの料金も、アルゼンチン国家通信機構(ENACOM)の発表を通じて、8月31日まで凍結された。5月1日時点の価格が保たれる。アルベルト・フェルナンデス大統領は、自身のツイッターを通じて、「通信は人とのつながりや仕事には不可欠」だとし、今回の決定に至ったと説明した。
(山木シルビア)
(アルゼンチン)
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