新型コロナ禍で150の公共サービスがデジタル化

(ブラジル)

サンパウロ発

2020年06月16日

ブラジル経済省は6月5日、新型コロナウイルス感染がブラジルで拡大した3月以降、150以上の公共サービスがデジタル化したと発表した。公共サービスを電子化する政府方針は4月29日に施行した「デジタル政府戦略2020-2022」で規定している。

デジタル化の一例として、政府は感染拡大の影響により職を失うなど諸条件を満たすインフォーマルセクターの労働者や個人零細事業主などを対象に、3カ月間にわたり1人当たり月額600レアル(約1万2,600円、1レアル=約21円)を支給する救済策を講じているが、申請をアンドロイド外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますiOS外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます向けアプリケーションを通じて行っている。既に約5,000万人がオンラインで申請しており、受給までにかかる時間が短縮された事例もみられる。

保健省傘下の国家衛生監督庁(ANVISA)も、公衆衛生の観点から46のサービスをデジタル化した。一例として、消毒剤の製品登録の変更や更新、取り消し申請を電子化したことが挙げられる。

一部の失業保険をデジタル化で効率化した事例もある。従来は年間28万件の申請に対して7,300人のオペレーターが対応していたが、デジタル化により630人のオペレーターで対応可能となったという。連邦政府で公共サービスのデジタル化を推進・調整する経済省デジタル政府局はこの結果について、財政削減効果以上に「人材配置の最適化に資する取り組み」と捉えている。

同局のカロリーナ・ハガン氏は「新型コロナ感染拡大をきっかけに、関係機関と協力してデジタル化へ一層注力している。国民が外出する機会を減らす仕組みづくりを目指している」と述べている。

(古木勇生)

(ブラジル)

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