介護サービス事業者のブラックリスト制度を導入

(中国)

北京発

2020年06月09日

民政部が制定した「養老サービス市場失信(信用喪失)共同懲戒対象リスト管理弁法(試行)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」が6月1日から施行された。介護施設や就業人員に、重大な法律違反行為が見られた場合は全国統一の管理システム上の「共同懲戒対象リスト」に登録される、いわゆるブラックリスト制度が導入された。就業人員には、法定代理人のほか、現場の管理職人員、介護スタッフも含まれるとしている。具体的な違反行為として以下が挙げられている。

  1. 法令に定められた業務の目的・範囲を超えた活動
  2. 養老サービスの提供によって高齢者の正当な権利利益を侵害する行為
  3. 違法な資金調達や健康食品等のだまし売りなどで高齢者の財産を詐取する行為
  4. 重大な火災発生の可能性があるにも関わらず、理由なく措置を講じず改善が遅延した場合
  5. 事故の発生に対して主要な、または直接の責任が認められる場合
  6. 不正な報告などに基づいて補助金を受給するなどの財政資金に関わる違法な行為
  7. 規則に基づく監督・検査の受入れ拒否および監督・検査における隠ぺい、改ざん行為
  8. 年間の業務報告書を提出せず、規則に基づく情報開示義務を履行しない行為
  9. その他養老サービス業務管理の関連規定に違反する重大な行為、背任行為

共同懲戒対象リストに含まれた場合、当該施設は政府調達への参加や補助金の受給を制限される可能性があるほか、当局による監督が強化される。

中国国務院は「養老サービス発展のための意見(2019年4月22日記事参照)」で高齢者の消費権益保護、養老サービス領域における違法な資金調達の管理強化を進めるとしており、本弁法の施行により消費者に適切な情報を提供しつつ、介護施設等の養老サービスの品質向上を目指す方針だ。

(唐澤和之)

(中国)

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