ヨルダンで公的機関・モスク・飲食店が再開も、経済は減速の見込み

(ヨルダン、エジプト)

カイロ発

2020年06月04日

ヨルダンでは、6月2日時点の新型コロナウイルス感染者累計は755人、死者は9人となった。直近10日間の新規感染者数は1桁台にとどまっており、海外からの帰国者や国際輸送関係者が大半を占める。国内の感染は抑え込んでおり、公的機関はラマダン明け祝祭日後の5月26日から再開した。6月5日からはモスクと教会で集団礼拝することを認め、外食産業組合によると6月7日からは感染対策を講じたレストランやカフェなどの外食店は再開可能となる見通しだ。

移動の制限は続いており、国際線の臨時便は不定期に運航しているものの、保健省によると国際線運航の全面再開は6月14日以降で日程は未定、入国制限などを政府が検討を進めている。車移動については、アンマンなど3県で50%に制限されている。車両番号が偶数と奇数で1日おきに車の利用が許可されており、違反には罰金が科され、繰り返し違反した際は車両が差し押さえられる。

ヨルダン政府は、3月に貨物以外の国境封鎖、外出制限、省庁、民間企業、学校の閉鎖を実施していた(2020年4月2日記事参照)。民間企業においては4月21日から経済活動を許可制で再開し、政府が経済支援策も公表している(2020年4月23日記事参照)。

一方で、IMFは2020年の経済成長率をマイナス3.7%と予測しており、新型コロナウイルス感染拡大を抑え込み経済再開を進めるヨルダンにおいても、経済減速は免れない見込みだ。2020年第1四半期の失業率は19%と高く、現地報道では、新型コロナウイルス感染の影響により、さらに悪化する見通しだ。5月21日に、IMFからヨルダンへの約4億ドルの緊急融資が承認され、政府は新型コロナウイルス感染の影響による危機対策を進める。

(井澤壌士)

(ヨルダン、エジプト)

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