飲食店が営業再開、自治体は休業支援継続や公共スペース提供も

(スイス)

ジュネーブ発

2020年05月22日

新型コロナウイルス感染拡大に伴うスイス連邦参事会(内閣)の活動制限措置の第2段階緩和(2020年5月1日記事参照)を受け、5月11日から飲食店が営業を再開した。再開に当たっては、1テーブルを4人以内(家族は除く)で着席のみとし、顧客間は2メートル以上開けるか間仕切りを置く、従業員が仕事中に2メートルの対人距離を確保できない場合は衛生マスクの着用を推奨する(義務ではなし)などの感染予防策を講じる必要がある。ホテル・ケータリング業界団体の「ガストロスイス」と連邦内務省保健局、連邦経済省経済事務局がガイドラインPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を作成し、公開している。

「ガストロスイス」が3月6~13日に1,999の会員(レストラン、ケータリングサービス、ホテルなど)を対象に行った調査によると、この時点で82.5%の飲食店が売り上げを落とし、業界全体の損失額は約3億8,220万スイス・フラン(約424億2,420万円、CHF、1CHF=約111円)だった。特にケータリングサービス(キャンセル率75.1%)が深刻で、同時期に発出された大規模イベントの実施禁止令が影響したものと思われる。その後、3月16日から飲食店の営業が禁止となり、損失はさらに拡大した。地元有力紙「NZZ」(5月11日)によると、2020年の業界全体の損失額は約40~49億CHFに上ると予測されている。

営業再開後、ジュネーブ市内では飲食店で食事を楽しむ人の光景が見られるようになった。それも、屋内よりもテラス席に客が入っている。

しかし、業界の損害は大きく、テレワークが推奨されていることから日中の客数が減っている上に、収容顧客数も減らさざるを得ないことから、完全な回復には至っていない。そのため、連邦参事会は、開店後もフルオペレーションに戻れない飲食店に対しては、部分的休業支援の継続利用を認めるとしている。また、ビール市やローザンヌ市は、顧客間の距離を取る措置が求められる中で飲食店が最大限にテラス席の面積を広げられるよう、公共スペースを無料提供している。ビール市はさらに、市内の飲食店や店舗利用を促進するため、全市民に25CHFのクーポンを配布する。

写真 テラス席で食事を楽しむ人々(ジェトロ撮影)

テラス席で食事を楽しむ人々(ジェトロ撮影)

写真 感染予防措置を取る飲食店(ジェトロ撮影)

感染予防措置を取る飲食店(ジェトロ撮影)

(城倉ふみ、マリオ・マルケジニ)

(スイス)

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