インドネシアのスタートアップに聞く、コロナ後の戦略

(インドネシア)

ジャカルタ発

2020年05月11日

新型コロナウイルス感染拡大により、インドネシアでは「大規模社会制限(PSBB)」が実施されている都市において、特定業種以外は在宅勤務が義務付けられている(2020年4月14日記事参照)。インドネシアでは従前より電子商取引(EC)の利用が盛んだが(注)、外出が制限されたことで、ECを利用した取引はさらに増加した。4月29日付CNNインドネシアによると、PSBB実施以降、日用品のEC取引額は400%増となっている。

デコルマ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、このような状況に商機を見出すスタートアップの1つだ。同社の広報担当であるエイドリアン・レナルディ・サプトラ氏に、事業内容、新型コロナウイルスによる影響や「コロナ後」の戦略につきヒアリングを行った(5月4日)。

(問)貴社の概要と事業内容について。

(答)2015年創業。以前の住宅・リビング産業は、ロジスティクスなど様々な側面での非効率性により、販売価格が生産価格の10倍以上することが一般的であった。この非効率性をテクノロジーの力で解消し、消費者に低価格でサービス提供するのが当社の使命である。事業内容は(1)家具などのEC販売、(2)住宅内装デザイン、(3)住宅・アパートメント売買の3つ。(1)はウエブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます上で、複数のメーカーが提供する3万点以上の食器、バスルーム製品、ソファなどさまざまな家具を購入することができる。(2)は当社が提携している250人以上のデザイナーが、(1)で提供する家具を用いて顧客の要望に応じた内装のデザインを提案する。デザイナーは当社が開発したソフトウェア「Soma外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を活用し、価格見積から材料調達などのデザインプロセスを効率的に行うことができる。(3)はウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます上で購入可能な住宅やアパートの情報を掲載している。

(問)「新型コロナウイルス」による貴社への影響は。

(答)ECで必要なものを購入する傾向が強まっていると感じる。実店舗で選ぶよりECを使うことで、家具の選択により時間をかけ、充実した住空間にしたいと思っている顧客が多い。3月以降、ソファ、ソファベッド、在宅勤務を快適にする用品へのニーズが非常に高くなっており、当社の売上高は2倍となった。一方、住宅内装デザインについては3月以降、顧客を訪問する形の打ち合わせや工事が難しくなったが、できる限り顧客の要望に応えたいと思っている。

(問)新型コロナウイルス感染の影響が収束した後、どのような商機があると考えるか。

(答)BtoBの取引が増加すると見ている。今回の騒動により、ビジネスパーソンはより快適な仕事空間を求めるようになるだろう。企業側も従業員の健康や安全により意識を向けるはずだ。具体的には通風機、UVランプ、パーテーションなどの需要を見込んでいる。

(注)米グーグルとシンガポールのテマセク・ホールディングスの調査PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、インドネシアのEC市場規模は、2019年が210億ドル、2025年には820億ドルになると予測されている。

(上野渉、シファ・ファウジア)

(インドネシア)

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