経済活動再開に向けた出口戦略、新型コロナウイルスによる制限の緩和プラン発表

(イスラエル)

テルアビブ発

2020年05月08日

イスラエルのネタニヤフ首相は5月4日に演説し、新型コロナウイルス感染拡大防止のための各種制限を段階的に緩和する方針を説明した。状況が悪化する場合は再び規制を強化するとし、その基準を設けた。

4月18日の発表(2020年4月21日記事参照)に続き、首相府と保健省が合同で発表した新たな緩和措置の概要外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは以下のとおり。

  • 商業活動:モールや市場は許可制で5月7日から営業再開を認める。モール内では1度に入店できる人数は従業員を含めて20平方メートルにつき1人まで。商店などでは15平方メートルにつき客1人まで、もしくは1つのレジにつき2人までの、いずれか多い方の人数が上限。
  • 行動制限:自宅から100メートル以内としていた外出制限を廃止。近親者の面会が可能(祖父母を含む)。屋外での集会は20人まで許可。5月17日から50人まで、5月31日から100人まで許可、6月14日から人数制限を廃止予定。結婚式での出席人数上限は50人。シナゴーグ(ユダヤ教礼拝所)の閉鎖は継続。

在イスラエル日本大使館は「イスラエル当局による新型コロナウイルスへの対応等に関する情報提供 5/5PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」として詳細を発表している。

今回、緩和措置を継続するかどうかの基準も設定した。(1)感染の発生拠点(海外、老人ホーム、ウイルスのアウトブレークが発生した制限区域:「赤」居住地)以外の1日当たりの新規患者数が100人以下、(2)新規感染者数が倍増する期間が10日以内、(3)重症患者数が250人以下という3つの基準のうち、いずれかの基準について悪化している場合は緩和措置の見直しを行う。

出口戦略としての緩和プランを発表した背景には、感染拡大のペースがスローダウンしていることがある。イスラエル保健省によると、総感染者数は1万6,314人、うち回復者は1万527人、死者は238人となった(5月6日午前時点)。

保健省のデータによると、4月2日には新規感染者数が800人に迫ったが、その後は減少傾向となり、5月2日以降は1日当たり100人以下となっている。1日当たりの回復者数が新規感染者数を上回り、4月15日に9,800人を超えていた患者数は、同省の最新データでは6,500人にまで減少した。国内の医療機関では重篤度が高い患者を優先的に病院で治療する態勢を維持し、医療崩壊を防いでいる(2020年4月1日記事参照)。

(余田知弘)

(イスラエル)

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