新型コロナウイルス対策の各種規制を一部緩和

(イスラエル)

テルアビブ発

2020年04月21日

イスラエルのネタニヤフ首相は4月18日夜に演説し、新型コロナウイルスの感染拡大防止を目的とする各種規制を段階的に緩和する方針を説明した。ただし、感染拡大の状況によっては、再びロックダウン(封鎖)を強化する可能性もある。

保健省によると、イスラエルの感染者数累計は1万3,654人、うち回復者は3,872人、死者は173人となった(4月20日午前8時時点)。1日当たりの新規感染が700人を超えた4月2日をピークに、10日以降は500人以下、16日以降は300人以下となり、増加傾向が緩やかになった。このため、回復者が新規感染者を上回り、15日に患者数(注)が9,808人を記録した後、16日から初めて減少傾向に転じていた。

4月中旬のユダヤ教過越祭の祝祭日期間には、完全外出禁止の時間帯を設定するなど厳しい制限措置を実施したが、首相府と保健省、財務省の合同発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(4月19日)によると、民間企業が職場に出勤させてもよい労働者数の割合が会社全体の15%から規制導入時の30%まで緩和された。職場では体温を記録し、十分な距離を保つことが義務付けられている。ビジネス活動については、家電販売店や家庭用品店、クリーニング店など小規模な店舗の営業が再開された。ただし、大型モールや市場、レストランの閉鎖措置は継続する。

このほか、外出・行動制限の主な内容は以下のとおり。

  • 外出は自宅から100メートル以内。
  • 運動は自宅から500メートル以内の屋外のみ許可。
  • 公園、ビーチ、遊び場、市営スポーツ施設などへの入場は禁止。
  • 宗教活動の場所は自宅から500メートル以内の屋外で19人までが上限。
  • 結婚式は屋外で10人までの出席が認められる。互いに2メートルの距離を保つことが条件。

他方、規制強化の事例もある。外出時のフェイスマスクの着用が義務化され、違反した場合は200シェケル(約6,000円、1シェケル=約30円)の罰金を科す新たな罰則が導入された。

感染者増加に備え、シバ病院をはじめとする医療機関では受け入れ態勢の強化に取り組んでいる(2020年4月1日記事参照)。トリアージを行って重篤度が高い患者を優先的に病院で治療するため、政府指定ホテルや自宅で軽症者の隔離措置を行うことにより、病床や医療サービスなどリソース配分の最適化を目指している。ICU(集中治療室)の増設、人工呼吸器などの医療機器を国外から調達する動きや、国内生産を始める取り組みが続いている。

(注)患者数は総感染者数から回復者数と死者数を引いた数。

(余田知弘)

(イスラエル)

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