一部の地域で消費振興のため「週休2.5日制」を奨励

(中国)

北京発

2020年05月08日

中国国家統計局の4月17日の発表によると、新型コロナウイルスの影響を受け、中国の2020年第1四半期の実質GDP成長率は前年同期比6.8%と、統計上確認できる1992年以降で初めてのマイナス成長になった(2020年4月23日記事参照)。消費を示す社会消費品小売総額も19.0%減の大幅な減少となった。

感染予防・抑止のための移動規制などにより、観光消費も落ち込んだ。中国観光研究院は、新型コロナウイルスなどの影響で2020年第1四半期の国内観光客数は前年同期比56%減、観光収入は69%減となり、通年でそれぞれ15.5%減、20.6%減になると予測している。こうした状況下で、一部の地域では「週休2.5日制」を試験的に実施・奨励するなど、観光などの余暇消費を回復させようとする動きがみられる(添付資料参照)。

河北省文化・観光庁は、3月30日に発表した「河北省の文化・観光産業の振興に向けた指導意見」において、週末に2.5日の休暇取得を奨励し、週末レジャー・小旅行ニーズを満たすとした。また、陝西省安康市が4月23日に発表した「飲食・ホテル・観光の消費促進に関する8項目の措置」では、有給休暇制度を着実に実施するよう奨励し、週末に2.5日の休暇を取得するよう呼び掛けた。内モンゴル自治区では、生産・操業再開をめぐる「6大集中行動」の一環として消費喚起行動を展開し、消費券の配布のほか、柔軟な休暇制度の整備などに取り組む。具体的には、自治区内の各盟(地級行政単位)・市が各地の状況に応じて週休2.5日の休暇制度を策定し、市民の余暇活動を奨励することで、短距離旅行消費の振興につなげる。

国務院が2015年8月に公布した「観光の投資・消費の一層の促進に関する若干の意見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」の中で、フレキシブルな勤務形態として、金曜日の午後と週末をつなげたレジャー・余暇活動を奨励するなど、2.5日休暇の案は以前から提起されていた。中国労働関係学院法学院の張麗雲副教授は、新型コロナウイルスの影響を受けて、週休2.5日制が本格的に実施される可能性があるとし、この制度が週末の消費支出増加を通じて消費振興、ひいては経済成長の促進につながる、と期待を示している(「法制日報」4月14日)。

(張敏)

(中国)

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