新型コロナウイルスの影響を受け、第1四半期GDPは初のマイナス成長に

(中国)

北京発

2020年04月23日

中国国家統計局の4月17日の発表によると、2020年第1四半期(1~3月)の実質GDPは前年同期比6.8%減となり、四半期ベースで統計をさかのぼれる1992年以降初めてのマイナス成長となった(添付資料の図参照)。産業別にみると、第一次産業が3.2%減、第二次産業が9.6%減、第三次産業が5.2%減となった(注1)。

投資を示す全国固定資産投資(農業を含まない)は前年同期比16.1%減となった。うち、インフラ投資は19.7%減、民間投資も18.8%減だった。消費(社会消費品小売総額)は19.0%減となった。このうち、インターネット上の実物商品小売額は5.9%増で、消費全体の23.6%を占めた(注2)。工業生産増加額(付加価値ベース)は多くの品目で生産が減少し、8.4%減となった。

統計局の毛報道官は、当期のマイナス成長について、新型コロナウイルスの影響が比較的大きかったとしつつも、3月単月では主要経済指標の減少幅が1~2月と比較して大幅に縮小しており、「明らかな改善がみられた」という点を繰り返し強調した。その上で、この改善の勢いが継続し、操業・生産の再開が加速し、強力な政策が打ち出されることにより、第2四半期の経済は当期よりも良くなるとの見通しを示した。また、世界での感染が抑さえられれば、下半期の実績は上半期よりも良くなると期待を示した。

さらに毛氏は、新産業、新製品、新ビジネスモデルに代表される経済の新たなエンジンに関する分野はむしろ成長を遂げているとし、オンライン学習やリモート診察などをその例として挙げた。なお、2020年の成長率目標について、目標を設定する必要はないと主張する識者の意見もみられるが、毛報道官は、目標の設定については全国人民代表大会で議論するとした。

中国社会科学院世界政治・経済研究所の徐奇渊研究員は、多くの機関が、第1四半期のGDPが2桁以上減少すると予測していたことを踏まえると、実績は想定よりもよかったと指摘した。その上で、内需は既に底打ちしたと言ってよいが、外需はまだ底が見えない状況で、政策刺激にさらに力を入れ、実施スピードを速めるべきとした。また、社会科学院財経戦略研究院の馮煦明副主任は、第2四半期の経済の最大の不確実性は海外における新型コロナウイルスの流行が外需を弱めることだとしつつ、国内においては復興が加速するため、同期の経済状況は第1四半期よりも好転すると見通した(「21世紀経済報道」4月18日)。

(注1)成長率に対する需要項目別の寄与率は今回発表されなかった。

(注2)同期の貿易動向については2020年4月17日記事を参照。

(小宮昇平)

(中国)

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