約7割の企業が今後2カ月のキャッシュフロー悪化を予測

(オーストラリア)

シドニー発

2020年05月07日

オーストラリア統計局(ABS)は5月4日、3回目となる新型コロナウイルスの企業への影響を聞いたアンケート調査の結果を発表した。同調査によると、新型コロナウイルスによって、今後2カ月の間にキャッシュフローの悪化を予測している企業が約7割に上ることが分かった。

ABSは、4月22日から4月28日までの期間、オーストラリアで事業を行う2,014社を対象にアンケート調査を実施し、約1,200社から回答を得た。今後2カ月の間に予測される、ビジネスへのマイナスの影響として、「キャッシュフローの悪化」と回答した企業が72%と最も多く、次いで、「製品・サービスに対する需要の低下」(69%)、「政府による規制」(53%)が多かった。また、44%の企業が金融市場の不確実性によるマイナスの影響を予測しており、特に、不安定な為替や資源価格に対する懸念が挙げられた。産業別にみると、卸売業(66%)、小売業(59%)、製造業(59%)などは、サプライチェーンの不確実性によるマイナスの影響を予測しており、各州政府による州内の移動制限や州境の閉鎖によって生じる、物流の問題が指摘された。

今回の調査では、連邦政府による賃金補助制度(2020年4月1日記事参照)についてもアンケートが実施された。その結果、44%の企業が同制度の発表によって雇用継続の決定に影響を受けた、と回答しており、特に、宿泊・飲食サービス業の割合が67%と高かった。また、61%の企業は、同制度に登録済み、または登録予定と回答しており、産業別にみると、建設業が80%と最も多く、業務支援サービス(79%)、宿泊・飲食サービス(76%)が続いた。他方、電気・ガス・水道(13%)、鉱業(17%)、金融・保険業(19%)では、その割合が低かった。

就業者数はさらに減少し、7.5%減に

ABSは5月5日、オーストラリア国税庁のデータを利用した2回目の調査結果を発表した。3月14日から4月18日までの5週間の間に、オーストラリア国内の就業者数は7.5%減少し、企業が支払った給与総額は8.2%減少した。前回調査(2020年4月24日記事参照)の対象期間だった4月4日以降の2週間で、減少幅はどちらも1.5ポイント拡大した。3月上旬における就業者数は約1,300万人だったことから、その7.5%相当となる97万5,000人が職を失ったと推定される。

(住裕美)

(オーストラリア)

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