財務相、出稼ぎ労働者向けなど経済対策パッケージ2回目の詳細会見

(インド)

ニューデリー発

2020年05月19日

ニルマラ・シタラマン財務相は5月14日、2日連続で会見を行い、モディ首相が12日に発表した20兆ルピー(約28兆円、1ルピー=約1.4円)規模の経済対策パッケージ(2020年5月14日記事参照)の詳細第2部の内容を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。13日に行われた1回目の会見(2020年5月19日記事参照)では中小企業向け支援策が発表されたが、今回は出稼ぎ労働者、農家、小規模事業者、露天商への支援策が明らかにされた。主な内容は以下のとおり。

  • 出稼ぎ労働者に対して2カ月間、無料で食料を提供。
  • インド国内のどの公正価格店からでも公共配給制度(PDS:Public Distribution System)が利用できる制度「One Nation One Ration Card」を2021年3月までに全土で導入。本制度導入により、出稼ぎ労働者がどの州にいても公共配給を受けられるようにする。
  • 出稼ぎ労働者と都市部貧困層のための手頃な価格の集合賃貸住宅(ARHC:Affordable Rental Housing Complexes)スキームの立ち上げ。
  • MUDRAスキームのShishuカテゴリー(注1)について、12カ月間、2%の利息助成。150億ルピー(約210億円)規模の救済。
  • 露天商向けに、1カ月以内にクレジットファシリティスキームを立ち上げ。500億ルピー(約700億円)規模の流動性供給。
  • PMAY(Pradhan Mantri Awas Yojana)スキーム(注2)の下での中間所得層向け信用連携助成金スキーム(CLSS:Credit Linked Subsidy Scheme)が2021年3月まで延長。2020年度に25万世帯の中所得世帯への裨益が予測され、住宅部門での7,000億ルピー(約9,800億円)以上の投資につながる。
  • 補償植林管理計画局(CAMPA:Compensatory Afforestation Management & Planning Authority)基金で植林やプランテーション事業を実施し、雇用機会を創出。600億ルピー(約840億円)規模の計画をただちに承認。
  • NABARD(National Bank for Agriculture and Rural Development:国営農業・農村開発銀行)を通じ、農家のために3,000億ルピー(約4,200億円)規模の追加緊急運転資金供給。
  • Kisanクレジットカードスキーム(注3)の下での譲許的クレジット提供を通じて2兆ルピー(約2.8兆円)の追加流動性供給。2,500万の農家への裨益が見込まれる。

現地報道によると産業界もおおむねこれらの政策を歓迎しており、州政府と緊密に連携した政策実行が重要とみている。インド商工会議所連合会(FICCI)のサンギータ・レディ会長は、「受益者の特定が大きな課題だ。意図する受益者への提供が、州組織の実行能力によって制限されないことを望む」と語った((「エコノミック・タイムズ」紙、5月15日))。

各項目の詳細は、シタラマン財務相が会見で使用したプレゼンテーション外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(注1)2015年にモディ首相が立ち上げたスキーム。Micro Units Development and Refinance Agency(MUDRA)を通じて融資を行う。融資可能額にはそれぞれの事業者のビジネスの段階に応じて「Shisu」「Kishor」「Tarun」の3つのカテゴリーがあり、今回対象となったShisuカテゴリーの上限は5万ルピー、Kishorは5万ルピーから50万ルピーまで、Tarunは50万ルピーから100万ルピーまでが上限とされている。

(注2)都市部貧困層向けに手ごろな住宅を供給することを目的としたスキーム。

(注3)農家への財政支援のために国営農業・農村開発銀行により設計されたスキーム。

(磯崎静香、ミナクシ・ベルワル)

(インド)

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