米CDC、経済再開の数値目標を発表、レストランなどの安全対策も示す

(米国)

ニューヨーク発

2020年05月26日

米国疾病予防管理センター(CDC)は5月20日、新型コロナウイルス対策として、自らの取り組みや支援ツールに関わる説明資料PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を公開した。トランプ大統領が発表した再開ガイドライン(2020年4月17日記事参照)の補足資料として、段階別の再開基準やレストラン・バー向けの安全対策ガイドラインなどを示している。

CDCは、州や自治体などの経済再開の基準について、段階別に具体的な数値目標を設定した(添付資料表参照)。通常の経済活動に戻る第3段階に入るには、各段階でそれぞれ感染件数や外来件数などが14日連続で減少することに加えて、検査による陽性反応の割合が1割以下であること、利用可能な病床や集中治療室(ICU)を3割以上、個人防護具(PPE)も15日を超える量を確保することが必要となる。

また、感染発生に備えた、早期検知のための監視や感染者への聞き取り調査の実施(感染報告から1日以内)、接触歴の追跡調査体制の確保なども、段階の移行の判断材料となる。CDCは州や自治体の保健医療担当向けに、感染者への対応や追跡調査の具体的方法について、参考資料やウェビナーなどをウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで案内している。

ジョンズ・ホプキンス大学によると、実施した検査全体のうち陽性反応が占める割合が1割以下の州は45に上る(5月24日時点)。一方、世界保健機関(WHO)の目標値である5%以下を満たす州は25に絞られる。しかし、米国では、5月20日にコネティカット州が再開の第1段階に入ったことで、全50州が何らかの経済活動を再開している(2020年5月21日記事参照)。

デジタル化など非接触型の対応が求められる

CDCは、複数の業種について具体的な安全対策を提示している。レストランでの飲食やバーは、第2段階から、社会的距離を確保しながらの営業が可能となるが、衛生管理として、接客対応する従業員のフェイスカバー着用、手に触れる機会の軽減(電子メニュー・決済、使い捨て調味料)、手洗いや換気の徹底が推奨される。社会的距離を保つために、行列時に立ち位置を示すテープの設置や、行列をつくらないよう車中待機かスマホアプリで呼び出すなどの対応が求められる。ビュッフェ形式なども避けるべきとされる。

従業員が感染した場合には、自宅または医療機関までの安全な交通手段を提供するとともに、地域の保健担当者や利用客に報告する。感染者が利用した場所は殺菌処理されるまで最低24時間は立ち入り禁止とする。その後、地域の感染状況を確認しながら、場合によって数日の休業を検討する必要がある。

(藪恭兵)

(米国)

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