活動制限の段階的緩和を開始

(ポルトガル)

マドリード発

2020年05月12日

政府は4月30日、5月2日まで再延長された「非常事態」宣言(2020年4月22日記事参照)を、5月4日から「災害事態」に引き下げると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。「災害事態」は「非常事態」と異なり大統領ではなく政府が発動するが、違反が刑事罰の対象となる点は同じだ。

コスタ首相は引き下げについて、「感染者数が減少傾向に転じ医療体制の維持が可能なこと、衛生用品の市場調達が容易になったことから、段階的に行動制限の緩和を開始する」と述べた。3段階に渡り緩和予定だが、15日ごとに見直され、状況に応じて変更され得る。主な実施・検討内容は以下のとおり。

  • 第1段階(5月4日以降):(1)公共交通機関を乗車率3分の2以下で運行再開、(2)200平方メートル以下の小規模商業施設の営業再開、(3)美容院・理容室の営業再開、行政サービスの再開
  • 第2段階(5月18日以降):(1)レストラン(収容人数の50%未満)の営業再開(2)保育所の営業再開(6月1日まで試験期間)、(3)高校2~3年生の登校再開、(4)美術館や歴史史跡などの公開再開、(5)床面積400平方メートル以下の商業施設の営業再開(大型店舗であっても400平方メートルまでであれば部分営業可)
  • 第3段階(6月1日以降)」:(1)幼稚園の営業再開、(2)テレワークの解除、(3)映画館、劇場の営業再開、(4)大型ショッピングセンターの営業再開、(5)無観客でのサッカーのリーグ戦

ソウザ企画相は5月2日、小規模・零細企業の経済活動再開を後押しする措置を発表。原則全業種を対象にマスクや衛生用品、在宅勤務環境整備などの費用として、1社当たり500~5,000ユーロを非常事態発動の3月18日に遡及(そきゅう)して支援し、支援額の80%は返済不要。緊急性を考慮し申請方法を簡素化する。近日中に中規模企業への支援策も発表の予定。

政府はこれまでに新型コロナウイルス対策に「ポルトガル2020」(注)から4億6,000万ユーロを支出、うち2億3,400万ユーロが企業向けの支援だった。

(注)「ポルトガル2020」は、2010年4月に欧州委員会が発表したEUの中期成長戦略「Europe(欧州)2020」の下、欧州委員会とポルトガル政府が締結したパートナーシップ協定。同協定の下で、ポルトガルに割り当てられた助成金は250億ユーロ。

(小野恵美)

(ポルトガル)

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