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債務不履行のレバノン、新型コロナも影響し2020年GDP成長率はマイナス12%の見込み

(レバノン、エジプト)

カイロ発

2020年05月08日

レバノンでは、新型コロナウイルスの影響に加えて、3月に債務不履行になり(2020年3月18日記事参照)、財政・経済も困難に直面している。政府の債務は3月にはGDP比約170%に上り、レバノン国債のランクを信用格付け会社のS&Pは「選択的デフォルト(SD)」に、フィッチ・レーティングスは「投資不適格」のうちで「CC」から「C」に格下げした。現地報道によると、中央銀行は4月24日に銀行間の送金レートを1ドル=3,625レバノン・ポンドと、公定為替レートの約6割のポンド安に設定し、実質的な通貨切り下げになった。公定為替レートは1997年以降、1ドル=1,507.5レバノン・ポンドだが、市内実勢レートと公定レートとは乖離していた。レバノンの実質GDP成長率について、IMFの2020年4月の公表によると、2019年はマイナス6.5%(推計値)、2020年はマイナス12%(推計値)だ。近年の隣国シリア内戦に起因する経済悪化や宗派体制政治の混乱、さらに、昨今の財政危機、抗議デモ激化、新型コロナの影響などにより、レバノン経済は急激な落ち込みが予測される。政府はIMFと経済再建支援に関する議論を始めた。

通貨下落や物価上昇などで治安が悪化

通貨下落により、輸入に依存する生活用品が値上がりしており、IMFは、消費者物価上昇率を2019年の2.9%から2020年は17%に上昇すると見込んでおり、市民生活への圧迫が予想される。また、中央銀行によると、外貨準備高が4月末時点で228億ドルまで減少しており、海外送金は2020年3月に禁止されたが、直前の1~2月で国内銀行預金額は57億ドル減少しており、海外に外貨が流出した。 多くの銀行は外貨不足により、2019年秋から預金の引き出しを週に200ドルまでと厳しく制限しており、市民に不満が募っている。新型コロナウイルスによる経済や雇用状況の悪化も背景に、金融機関の破壊活動の発生など抗議デモが激化している。4月23日以降、複数の都市において銀行への放火やATMの破壊など治安が悪化し、軍と市民の衝突もみられる。2019年10月以降、通話・メッセージアプリに対する課税案への反対や、政府体制への反対に関する抗議デモは断続的に起こってきた。

抗議デモ活発化により新型コロナウイルスの感染再拡大の懸念

レバノン国内では、新型コロナウイルス感染拡大は収束しつつあり、深刻な経済悪化を避けるため早期の経済活動再開が望まれており、政府は経済活動を6月8日までに段階的に再開の予定だ(2020年5月1日記事参照)。他方で、現在、新型コロナウイルス拡大防止のため、自宅待機の要請を政府がしているにもかかわらず、抗議デモが起こっている。3月15日に出され、現在は5月24日まで延長されている自宅待機要請、夜間の外出禁止、車両移動規制などの制限が解かれると、より多くの市民がデモに集合することが予想され、再度、感染拡大の懸念がある。現地報道によれば、感染拡大防止のため、米国から1,330万ドル以上の支援を受ける予定だ。

(井澤壌士)

(レバノン、エジプト)

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