レバノンで新型コロナに関する制限を段階的に緩和、経済活動再開へ

(レバノン)

カイロ発

2020年05月01日

レバノンでは2月21日に初の新型コロナ感染者が判明して以来、4月28日時点の感染者は累計717人、うち死者は24人となった。前日比では感染者は7人増、死者は出ておらず比較的感染拡大は落ち着きを見せている。レバノン政府は経済活動の再開を想定し、以下のとおり、4月27日から6月8日にかけて段階的に企業などの活動を再開する方針を決定した。

  • 4月27日以降:小規模雑貨・菓子店、食料・農業・電力・水道関連機関、ホテル
  • 5月4日以降:外食店(利用客数は定員の30%以内、水タバコ禁止)、児童用公園、屋外スポーツ施設、理容・美容店、車修理工場・プラスチック製造工場など
  • 5月11日以降:保育園(3歳未満)、特別介護者施設、カジノ(利用客数70%以内)、自動車販売店
  • 5月25日以降:国家試験受験生向け学校、大型商業施設、外食店(利用客数50%以内)
  • 6月8日以降:保育園・幼稚園(3~6歳)、学校、パブ・ナイトクラブ、観光・娯楽施設、宗教施設、建設現場、公共交通機関(バス・航空機など)

他方で、3月15日に発令された総動員は5月10日まで延長され、日中の自宅待機要請、夜間の外出禁止、国際線の原則停止などの措置(2020年4月2日記事参照)が継続される。現在、国際線はミドルイースト航空(MEA)が例外的に臨時便を不定期に運航している。都市部の交通については、奇数と偶数の車両番号で日によって交互に利用可能という制限が課されている。イスラム教のラマダン月に入り、午後8時以降の夜間外出禁止を1時間繰り下げ、午後9時以降外出禁止に緩和された。

新型コロナの危機に加えて、現地報道や在レバノン日本大使館によれば、レバノンでは政府の債務不履行(2020年3月18日記事参照)によるレバノン・ポンドの通貨下落、ATM引き出しや海外送金の規制を背景に、複数の金融機関に対し市民がATM破壊などの暴動を起こしている。自宅待機要請や移動の制限により多くの公的機関や民間企業は閉鎖しているが、さらなる経済悪化、治安悪化を避けるため早期の経済活動再開が望まれている。

(井澤壌士)

(レバノン)

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