連邦政府、企業活動再開のための衛生・防疫基準を公表

(ロシア)

モスクワ発

2020年05月21日

連邦消費者権利保護・福利監督局(ロスポトレブナドゾル)は5月13日、企業活動再開のための衛生・防疫基準を公表した。企業活動全般に対する一般原則のほか、理美容、小売り、外食、建設工事など15の個別業種ごとの衛生・防疫基準を定めている。

今回公表された衛生・防疫基準のうち、在ロシア日系企業を含む大部分の企業活動再開にあたって対応が求められる基準は添付資料のとおり。できるだけ従業員同士の接触を避け、感染のリスクを低くすることが狙い。内容はこれまで個別に操業許可を取り、稼働を続けてきた企業で導入されてきたものと類似している。

ロシア当局が定める衛生・防疫基準が不明瞭で周知も不十分との不満が進出日系企業で募っていた中、全国的な基準が公表されたことは評価できる。しかし、概略にとどまっているため各地方政府、またはロスポトレブナドゾルの地方支部が定めた細則を見ていく必要がある。例えば、日系企業の立地が多いモスクワ市PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)サンクトペテルブルク市外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますレニングラード州外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますニジェゴロド州外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますウリヤノフスク州外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますサマラ州外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますではより詳細な基準・手順を公表している(いずれもロシア語のみ)。

モスクワ市では一定数の従業員に順次コロナウイルス検査を受けさせることが求められる。ニジェゴロド州では企業活動再開の事前の電子申請、従業員用のマスクなど保護具の在庫状況について毎日報告することが求められている。他の地方でも独自規定が導入されている可能性があるため注意が必要だ。

ロシアでは新型コロナウイルス感染者数の増加が続くものの、5月20日には初めて1日当たりの回復者数が新規感染者数を上回るなど、そのペースは落ち着きを見せ始めている。死者数累計は依然として3,000人未満(2020年5月20日現在)と低い水準にとどまっている。5月12日からは全国的に一部の分野で経済活動が解禁された(2020年5月13日記事参照)。

(梅津哲也)

(ロシア)

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