連邦経済事務局、つなぎ融資の乱用防止ガイドラインを制定

(スイス)

ジュネーブ発

2020年05月20日

スイス連邦経済省経済事務局(SECO)は5月15日、新型コロナウイルスによる影響を軽減するためのつなぎ融資についての乱用防止ガイドラインを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。これは、つなぎ融資の増額が閣議決定された4月3日に連邦参事会(内閣)から策定が指示されていた(2020年4月7日記事参照)ものだ。

同発表によると、3月26日以降、資金繰りに苦しむ企業に対して政府保証の付いたつなぎ融資が123の銀行から提供されている。この融資制度は、申請手続きがオンラインで簡単にできるようになっており、これまで12万2,000社以上が利用している。一方で、この融資制度の乱用リスクがあった。具体的には、申告された売上金額が不正な数値だった、融資申請時において企業が既に破産状態にあった、同じ企業がつなぎ融資を複数銀行に同時申請していた、融資を禁止されている配当金支払いに当てるといった場合だ。

今回策定されたガイドラインの主な項目は以下のとおり。

  • 申請企業に企業識別番号(UID)を添付して電子申請させることにより、国が把握している企業情報と申請企業がひもづけられるようにして、申請時に当該企業が破産状態にないことなどの企業の現状を確認できるようにする。
  • 銀行はマネーロンダリング防止法に基づく申請人の身元確認を確実に行う。
  • 全国の信用保証機関により設立された中央機関が融資全案件について、申請企業の設立時期などの要件の適合性、破産の有無や申請の重複の有無などを確認する。
  • 信用保証機関は融資を乱用した企業の刑事・民事告訴を行う。その状況は連邦経済事務局(SECO)に定期報告する。
  • 連邦会計監査局(CDF)は全ての信用保証について監査を行う。申請企業が申告した売上額が融資基準範囲内か、融資が配当や役員報酬に当てられていないかを源泉徴収や付加価値税などの税関連資料と突合して確認する。また、企業が債務整理中ではないかを確認する。CDFが検知した異常は、SECO経由で信用保証機関に送付される。

(和田恭)

(スイス)

ビジネス短信 72abcdf163dfe876