新型コロナ発生以降は外貨準備高減少、観光による外貨収入を失う

(エジプト)

カイロ発

2020年05月13日

エジプト中央銀行の2020年4月の月次統計によると、新型コロナウイルスの発生以降、海外からの投資や観光客の減少と外貨両替ニーズや外貨流出の増加などのため、外貨準備高が減少している。2019年の外貨準備高は年間を通して450億ドル前後で安定しており、エジプトでの新型コロナ感染拡大前の2020年2月末時点では455億ドルだったが、3月末に401億ドル、4月末時点では370億ドルまで減少した。エジプトではアラブの春以降の経済悪化により深刻な外貨不足に陥っていたが、IMFから2016年に120億ドルの支援を受けるなど外貨不足が解消していた。2018/19年度は年間約12億ドルだった観光収入は主な外貨収入源だが、新型コロナの影響により国際便の停止が続く限り収入を得られない。また、政府による1億ドルの小麦・砂糖の輸入など、新型コロナ対策の食糧備蓄、医療・生活物資などの支出を行っている。

観光客の受け入れ再開時期は未定、支援策を公表

外国人観光客の受け入れ再開は官民に望まれている。現地報道によると、ハーリッド・アナーニー観光・考古相は、新型コロナの感染拡大状況を注視する中、外国人観光客の受け入れ再開時期は未定と述べた。観光客受け入れ再開に当たっては、飛行機や観光施設での衛生管理や感染予防策など対策を検討するとした。ホテルに対して5月末までは客室の25%の稼働を認め、6月以降は50%の稼働を目指す。政府は観光業界へ500億エジプト・ポンドの支援のほか、現地企業に対して税の支払い延期などの施策を公表している(2020年4月7日記事参照)。

(井澤壌士)

(エジプト)

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