ロックダウン緩和策、ムンバイやプネなど都市部は対象外に
(インド)
ムンバイ発
2020年05月08日
インドのマハーラーシュトラ(MH)州政府は5月2日、中央政府によるロックダウン延長と緩和策の発表を受け、州のガイドラインを発表した(添付資料参照、首相公式ツイッター投稿1、投稿2
、投稿3
、投稿4
、一部改訂投稿
)。内容は中央政府通達にほぼ準拠しているものの、中央政府の緩和策は各地域を感染状況によりレッド、オレンジ、グリーンのゾーンに指定し、それぞれに緩和内容を定めるものだが、MH州政府はムンバイやプネなど大都市圏を指定対象から事前に除外し、独自の緩和策を導入することを通達した。
中央政府の方針では、レッドゾーンであっても、民間オフィスの従業員は33%まで出勤が可能となるが、MH州ではムンバイやプネなどの都市圏は対象外となり、公的機関のみが5%を上限とし出勤を認める。このほか、バスやタクシーなどの公共交通機関、バイクや乗用車での移動、工場操業が緩和の対象外となった。
また、今回の緩和策により、「非必需品(non-essential)」を取り扱う店舗の営業再開を一部認めたため、4日には酒店が営業再開したが、客が殺到して感染リスクが広がった。これを受けて、ムンバイ市政府(BMC)は5日、市内での「非必需品(non-essential)」の販売許可を撤回(ムンバイ警察公式ツイッター投稿参照)し、6日からは酒店の営業をあらためて停止した。
インド全体の新型コロナウイルス感染者数・死者数のうち、MH州は患者数で3割強、死者数で4割弱を占め、全国最多となっている。特にムンバイ市の感染数が多く、インド最大のスラム街「ダラビ」で急増している。ムンバイ市内の封じ込めゾーンの約半数がスラム街にあり、予断を許さない状況だ。
前回の一部緩和策が導入された4月20日、都市部では人が一気にあふれ、感染リスクが高まった結果、翌日には緩和が大幅に制限された(2020年4月23日記事参照)。今回はムンバイやプネといった都市部を事前に緩和対象から除外し、酒類販売再開についてもすぐに撤回をしたが、今後さらに緩和策を引き締める可能性もあるとみられる。
(比佐建二郎)
(インド)
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