硬軟織り交ぜてロックダウン緩和へ、飲食店は6月1日から再開

(フィンランド)

ロンドン発

2020年05月08日

フィンランドのサンナ・マリン首相は5月4日、日常生活と社会活動への影響を最小限に抑えながら新型コロナウイルス流行を効果的に抑制するため、規制緩和と継続・強化を織り交ぜた「ハイブリッド計画外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。この計画では、3月16日の非常事態宣言発出(2020年3月19日記事参照)以降に実施してきた大規模な制限措置を段階的に緩和しつつ、感染管理や緊急時の対応に特化した法令の追加などを行う。また、感染拡大防止のため「検査・追跡・隔離・治療」に焦点を当てるとし、スマートフォンでの感染者追跡アプリの導入も検討している。

緩和策では例えば、5月14日に通勤など業務に関連するものや不可欠な往来に限り、シェンゲン協定加盟国との往来を解除する。また、全ての教育機関で同日から制限付きで段階的に対面教育が可能となるが、高校、大学、専門学校などは引き続き遠隔学習を推奨するとしている。野外レクリエーション施設は訪問者数を制限、安全な距離を確保し、衛生に関するガイダンスを顧客に提供することを条件に再開となる。

レストランは6月1日から、疫学的評価により安全性が確認されることなどを条件に、店内の客数や酒類を提供できる時間を制限する法を整備した上で再開。また、公立博物館や劇場、図書館、スポーツ施設、高齢者向けデイケアサービスなどの屋内施設も、野外施設と同じく人数制限や社会的距離確保を条件に再開となる。集会の解禁は今後の疫学的評価を踏まえて決定するが、早ければ6月1日から人数制限を現在の10人から50人へ引き上げる。

適用を続ける規制もある。旅行目的の海外渡航は今後も推奨せず、再開時期はEU全体で調整すべき問題としている。500人を超える大規模集会は7月31日まで禁止する。在宅勤務の継続も推奨しており、新たな方針は夏以降に発表する予定だ。70歳以上の高齢者は引き続き他者との接触を極力避ける必要があり、政府は高リスクと分類される国民に対し、今後も自主的に感染予防を徹底するよう強く求めている。現在禁止している福祉・介護施設の外来訪問は、さらなる検証を経て6月末までに方針を固める予定としている。

(前薗香織、杉田舞希)

(フィンランド)

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