職場の安全確保と不安払しょくが課題、在英日系企業新型コロナ影響調査

(英国)

ロンドン発

2020年05月25日

ジェトロと在英日本商工会議所は5月22日、在英日系企業への新型コロナウイルスの影響に関するアンケート調査PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(調査期間:5月18~21日、回答企業数:129社)の結果を発表した。

調査時点での事業の継続状況は、ロックダウン以前よりも活動規模を縮小している企業が半数を上回るも、同程度の活動規模で継続している企業も4割強に上った。雇用に影響が生じている企業は約4割で、この内9割は一部ないし全従業員を一時帰休にしている。

ほぼ全ての企業が在宅勤務を実施しており、全従業員を在宅勤務としている企業も半数以上あった。他方、ロックダウンの段階的緩和が始まってからも、多くの企業が職場での対人距離の確保や通勤時の感染リスクなどを課題と考えており、在宅勤務を実施している企業の6割弱が、出勤拡大の時期は未定と回答、従業員の安全確保体制の確立や政府による在宅勤務推奨の解除が必要とする声が多かった。回答企業の3社に2社は、政府の職場別ガイダンス(2020年5月12日記事参照)の内容を自社で実行可能と考えているが、ロックダウン緩和の内容は限定的で(2020年5月11日記事参照)、交通機関利用時の感染リスクもあるため、職場での本格的な活動再開には時間がかかりそうだ。その一方で、「コロナ収束後」の新たな働き方について社内検討を始める動きも報告されている。在宅勤務の拡大をはじめ、日系企業の間でもより柔軟な雇用・就業体制が広がる可能性がありそうだ。

4月の売り上げは3社に2社で減少、その内の4割は50%超の減少となった。他方、資金繰りに支障が生じている企業は全回答企業の1割弱で、親会社からの支援や給与調整などで対応している。製造拠点を持つ企業の8割は減産または生産停止中で、その要因は需要の減少が最多だった。

英国ビザ発給再開を求める声も多数

英国政府による企業支援制度(注)は、4割の企業が活用中または活用を検討中と回答。この内9割が、一時帰休従業員の給与8割給付制度(2020年5月13日記事参照)を利用または利用予定としており、関心が集中した。また、支援制度を申請したが却下されたという企業はなかった。

英国政府への要望では、日本からの赴任・出向予定者の着任が遅れている企業から、英国ビザセンターの再開を求める声が多数挙がった。英国から帰任した駐在員の後任が、まだ着任できていない企業は少なくなく、その影響が広がりつつある。

(注)英国政府による企業・雇用関連支援制度の概要は、ジェトロが作成した一覧PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)から閲覧可能。

(宮崎拓)

(英国)

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