8つの職場別ガイドラインを発表、リスク評価を通じ徹底を求める
(英国)
ロンドン発
2020年05月12日
英国政府は5月11日、経済活動の段階的な再開にあたり事業者向けの新ガイダンスを発表した。「建設その他屋外での就労」「工場、プラント、倉庫」「オフィス、コンタクトセンター」など8つの就業場所について。これまで業種別の簡易なガイダンスが公開されていたが、同一企業でも就業場所により従業員の新型コロナウイルス感染防止の対策は異なることから、経済団体や労働組合などの意見も取り入れてまとめた。
可能な限り在宅勤務を継続することを前提に、出勤が必要な従業員が他者との間に2メートルの社会的距離を確保できるよう、職場の特徴に応じて床や机に目印を設置することや、距離確保が難しい場合の間仕切りの設置などを図説している。職場密度の抑制や時差出勤などは、就業場所を問わず実現を求めている。
新ガイダンスは現在営業が認められている事業者に適用されるほか、6月1日から段階的に営業再開が認められる店舗などにも該当するものも含まれる。イングランド以外の事業者に対しては、各自治政府の要請事項も参照するよう求めている。
新ガイダンス自体には法的拘束力はないが、社会的距離に関する事項など法律で規定されているものも含まれ、また法律で義務付けられている職場のリスク評価はこのガイダンスを使用して新型ウイルス感染リスクにも対処する必要があると明示するなど、徹底を求めている。リスク評価の結果は可能なら各社のウェブサイト上で公開することが推奨され、ガイダンスへの準拠を職場内に掲示する定型様式も用意している。
マスク着用を初めて推奨
政府は同日、前日夜にジョンソン首相がビデオ演説で示した(2020年5月11日記事参照)社会経済再建に向けたロードマップの詳細も公表した。その中で政府は、交通機関や一部の店舗など社会的距離の確保が困難な公共の場でのマスク(face-covering)着用を初めて推奨。このマスクは鼻と口を覆う物で、スカーフなどを用いて家庭で製作することを推奨しており、医療施設などへの供給を絶やさないよう、医療用マスクは購入しないよう要請している。マスク着用は職場別の新ガイダンスにも記されているが、職場を含め着用は任意で、法的義務はない。
11日には社会的距離に関する新たなガイダンスなど、ロードマップ発表を受け多数のガイダンスが発表または改定された。12日には公共交通機関利用などに関するガイダンスの発表を予定している。
(宮崎拓)
(英国)
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